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小説とは(4)



小説は事件を描くものではない。
事件を描くというのが小説の目的ではない。

先日も書いた上の言葉ですが、これは渡辺淳一の言葉です。
小説とは、常識を疑い、その裏にあるどろどろした人間の心理を描くものです。

事件はあくまで人間を描くための舞台や小道具に過ぎません。
ストーリーだけを追うのが、小説ではないのです。
小説とは、主人公がある架空の世界で事件に遭遇する話だと先日書きましたが、その根幹を成すものは、そこに描かれる人間の心理なのです。

これはとても大切なことなので、心に刻んでおいてください。
小説を書き始めたときは、やたらストーリーだけをつらつらと書いてしまうものです。
注意しましょう。

小説とは(3)



小説とは、主人公がある架空の世界で事件に遭遇する話です。
作者が創作した人物を、作者が創作した世界のなかで動かし、事件を語るもの。
そのため、文章の基本も、いつ(When)どこで(Where)だれが(Who)何を(What)なぜ(Why)どのようにしたのか(How)の5W1Hです。

「人間を描くこと」
これが小説の目的なのです。
しかし、初心者たちは、おもしろい話を聞いたり見たりしたとき、「これを小説にすれば何か書けるんじゃないか」って考えてしまいます。
でもそうではないのです。
事件などいくら描いても、小説にはなりません。

感動する小説は、読んでいるうちにその主人公に感情移入してしまうものです。
主人公が事件に巻き込まれてしまう。
問題を解決しようとしても、主人公の力を越えていて、解決は困難。
主人公は悩み、悩みぬく。
どこかに進むべき道があるのだと信じ、必死で探す。
味方に誤解され、敵に邪魔され、主人公は傷つき、苦悩し、迷う。
しかし、最後には満身創痍になりながらも、立ち上がり、困難に立ち向かう。

そして、事件が終わった後に、主人公はこの事件に遭遇する前の自分とは変わっていることに気づくのです。

読者が共感して読む小説はだいたいこういう構造になっています。
それは悩み傷ついた主人公が強く立ち上がろうとするところに読者が共感し、感情移入するからです。
小説は、人間の物語であり、人間が成長する物語なのです。
主人公が迷い傷つくことを乗り越えて強くなろうと努力する物語なのです。
小説を書くものは、それを常に頭のど真ん中においておくべきなのです。

小説とは(2)




映画と違って、視覚に訴えられない小説では、登場人物がなにを考えているのか、すべて文章で表現しなくてはなりません。
それだけ、小説はよりいっそう、読者を捉える力が強いのかもしれません。

反対に、どうしてものれない小説を読んだときは、むなしく、時には貴重な時間を返せと腹立たしくなります。
どれだけたくさんの言葉を費やしても、小説作法がなっていなければ。何を伝えたいのか、読者が理解してくれないのです。

小説を読むと、架空の物語のなかで主人公といっしょになって怒ったり、喜んだり、悲しんだり、実生活では体験できないさまざまなことが体験できます。
作者が読者にいかにしかけるか。
どれだけ読者を物語世界に参加させることができるか。
読者の共感の気持ちをいかに引き出せるか。
それが言葉をつづる人の目論みなのです。

本を読むことはわくわくすることです。
「この本を開けばどんな世界が広がるのか」
読者はいつも楽しみにしているということを、小説を書くものは常に心に留めておくべきですね。

小説とは(1)



いまさらとお思いになるかもしれませんが、小説とは、以下の構成で成り立っています。

・説明(叙述又は要約)
・描写(風景・心理・行動)
・会話(台詞)

小説とは、これらのパーツの組み合わせなのです。
そしてその組み合わせの手際の良さが、作者の力量のひとつともいえるでしょう。

パーツの組み合わせなどと書くと簡単なような気がするのですが、それがなかなか書けないんです。
優れた書き手たちによって、我々読者は物語の世界に引きこまれてしまいます。
活躍している作家の小説を読んでいると、頭の中で主人公が笑い、泣き、怒り、悩み、会話し、動く様子が、まるで映画を見ているように、頭の中に各シーンが次々と浮かんできます。
ただ、作者の書き綴った文字を読んでたどっていくだけでです。

これは本当にすごいことだと思います。
彼らの語りの巧みさには嫉妬すら覚えることもあります。

小説のテーマ(2)



新人賞に応募するなら傾向と対策は必須なので、両者の分類はある程度必要なのは言うまでもありません。
しかし、そうであっても、書きたいものを書いて、出来上がった作品を見て、その時にどちらかに分類する必要があるのならそうすればいいのです。

重要なのは書くこと、です。
あれこれ決めてからでないとかけないというのは、ある程度の書き手になってから言うこと。
初心者は考えるより先にペンを取ること。

小説は面白ければそれでいいのです。
もちろん、「何がおもしろいか」は人によって違います。
あらゆる年齢、男女、職業、地域の人にとって面白い小説を書くのはプロの作家でも無理でしょう。

要するに書きたいことを書く。その中で、自分なりにどうかいたら面白いのかを考えながら書く。
そうして、出来上がった作品をじっくり見直して、「この作品のテーマは何なのだろうか」をじっくり考えるというのはどうでしょうか。
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