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愚かな毒鼠どもの眠れない夜 7


7.狂人の隠れ家

 悪魔の髑髏、「デビルスカル」。
 昼間はカフェとして営業していて、ランチとかカツサンドとか、普通のメニューものを出していて、客には家族連れも多いが、夜になると、この猥雑な街でも結構ヤバイ雰囲気を醸し出しているカフェバーに変わる。経営者は同じだが、昼と夜で店を切り盛りする人が変わるらしい。
「よう」
 祐輔がドアを開けて入っていくと、カウンターでウィスキーグラスを磨いていた斉藤茂樹が目を向ける。
「どうも」
「んだよ、久しぶりじゃねえか」
 茂樹はカウンターの向こうから身を乗り出して手を差し出してきた。ごつい手を掴んで握手。手首から肩の辺りにかけて広がっているタトゥー。三十を超えても筋肉が全然衰えていない。元半グレの最強男。祐輔の先輩。今は会社から独立して別の仕事をしている。
「元気っすか?」
「当たり前じゃん」
 ちょうど一か月前。店に飲みに来て暴れた三人組の土方の兄ちゃんたちを、茂樹はひとりでぼこぼこに殴って店の外に叩き出したした。チタン製のメリケンサックを拳に着けてタコ殴りしたから、三人とも前歯をへし折られたり、顎の骨を砕かれたりと、散々な目に合わされた。しかし、あれでも茂樹は手加減したのだ。茂樹が本気を出して殴れば、三人とも殺されてどこかの山に埋められていただろう。そして、そいつらの死体を埋めたのが祐輔だったかもしれない。
 座れよと勧められるまま、祐輔はテーブル席に腰を降ろす。
 いかにも不良の溜まり場っぽい店内。流れるBGMは静かなレゲエ。
「調子はどうだ?」
「まあ、ぼちぼちですよ」
「お前がそういうってことは、仕事はうまくいってんだな」
「まあまあっす」
「俺の下についたばかりの時は危なっかしいガキだったのにな。俺も年取るわけだ」
「何言ってんすか。茂樹さんだって、地元最強の現役バリバリじゃないっすか」
 茂樹が奥の方へ声をかける。遠藤美由紀が、タオルで手を拭きながらカウンターの奥にある厨房から姿を現した。Tシャツの胸を大きく持ち上げる乳房。Eカップはある。いや、Gか。どうしても目を向けてしまう。
「祐輔くん、久しぶり」
 隣の椅子を引き、笑いながら「元気にしてた?」と、密着するように体を寄せる。茂樹の女。発酵したパッションフルーツのような匂いが、ふわりと鼻先に漂う。
 高級ソープ嬢として働いたら、きっと月一千万は稼げるくらいいい女。茂樹はこの極上女の体を自由にしている。これまで組織で稼いだ金は億はいっているはずだ。やはり、美由紀のようないい女を物にするには金が必要だ。
 ふっと、絵美の顔が目に浮かぶ。
 今はあいつが俺のお似合いの女と言うことか。
 俺もいつか茂樹みたいになってやる。
「何か作ってやれよ」
 美由紀は微笑みだけ向けると、席を立ってカウンター奥の厨房へ消える。
 茂樹が慣れた手つきでカクテルを作るのを、祐輔は黙って見ていた。おしゃれで大人びた酒の愉しみ方など、祐輔は知らない。こんな猥雑で汚い街の片隅で似合うのは、安いウイスキーのラッパ飲みだ。
 タバコを銜えた。茂樹はまだ十代の時、アメリカで暮らしていた。本場のアメリカのドラマや映画で見るような危険な街の場末のバーで、カクテルの作り方を習ったらしい。
「最近は稼いでんのか?」
 カクテルを注いだグラスを置きながら、茂樹が祐輔に訊いた。
「最近すか?」
「おう」
「まあ、あれなんすけど」と、もったいつけて身を乗り出した。
「実は、金持ちのスケベ爺がいるんすけど、俺の担当のターゲットで、これまでいろいろ探りを入れたんですけど、金、結構溜め込んでんですよ」
「いくら?」
「三千万っす」
「おお、すげえじゃん!」
「なんか超用心深い爺で、生活パターン調べるのにも時間かかったんす。ほんとにそんな金を家に溜め込んでるのかって、疑ってる上の人もいるんすけど」
「そんなの関係ねえって。三千万とか、マジすげえから」
 電話での指示を出している上層部の幹部はフィリピンにいて、日本の警察が簡単に手出しできない安全な場所から指示を出している。日本にいる幹部がその指示を受け、祐輔のような実行役に指示を出す。そして、実行役はラインやネットで闇バイトの襲撃役を募集し、高額報酬に釣られた無職の男たちを使って金を奪わせ、その金を回収する。
 沖島のような日本にいる幹部は実行役の監視だ。受け取った金を配分し、上層部に上納するのが仕事だ。そして、幹部の指示を受けた実行役は襲撃役を用意し、カモの家に押し入らせる。金がある家に当たって大金をせしめれば、うまくいけば幹部になれる。幹部になれば自由に金を使えるのだ。
「お待たせ」
 美由紀がペスカトーレの皿を祐輔の前に置き、タバスコの小瓶を添える。付け合わせは、オリーブオイルを回したトマトとモツァレラチーズのカプレーゼだ。
「どうも。うまそうっすね」
「こいつのつくるパスタは最高だぜ」
 美由紀が静かに微笑んでいる。
 祐輔はトマトとガーリックの効いたパスタを堪能し、新しく注文したビールで流し込む。
「マジで、うまいっす。茂樹さん、マジ人生の勝ち組っすよね。金も夢も手に入れて、綺麗な女もっしょ? 何でも持ってるじゃないすか」
「んなことねえよ」
「俺ら、どうしたら茂樹さんみたいになれるんすか?」
「おだてんなって。お前も頑張ってたら、いつか夢は叶うから。俺が嘘をついたことあるか?」
「いや、ないっす。茂樹さん最高っす」
 祐輔は三杯目に注文したマティーニの残りをひと息で飲み干す。
「久しぶりにやろうと思って」と、タバコをふかすそぶりをしてみせる。茂樹がにやりとする。
「ちょうどいい。メキシコから直輸入の高級品が入ったばかりなんだぜ」
「いいっすね」
「女は?」
 美由紀を見た。まさか美由紀を連れ出すわけにはいかないし、絵美は葉っぱはやらない。それに、ついさっき絵美の中に二発ぶっ放したばかりだ。
「静かにひとりでフカします」
 カウンターの中から、マリファナの入った小さな袋を取り出し、祐輔の前に置いた。
「俺のおごりだ」
「えっ? いいんすか?」
「最近、儲けてんだよ。さばく量増やしてるし。それに、自分用にも取ってんのがあんだよ」
「マジすか? あざっす! マジあざっす!」
 頭を下げて、茂樹の気が変わらないうちにマリファナをポケットにしまった。

愚かな毒鼠どもの眠れない夜 6


6.ガキの頃の追憶

 絵美の母親の名前は慶子といった。
 慶子との約束を、祐輔は守った。
 絵美をいじめるのはもうやめよう。
 学校の悪ガキどもにそう提案したとき、皆が怪訝な顔をした。
「あんな馬鹿女を何で庇うんだよ」
「あいつの親父がヤバイの、知ってるだろ? あいつ、家に帰って俺たちのことをオヤジにチクったらしいんだよ。この前、道歩いているときに声かけられて、ドス突きつけられたんだぜ」
 皆が唾を飲み込む。。
「俺たちの名前とかどこに住んでるとか、みんな知ってるんだぜって、ドスの刃先を目の前に突きつけやがんだよ。小便漏らしそうになっちまったぜ。それでよ、今度絵美をいじめたらそいつの金玉切り落とすって凄まれたんだ」
 悪ガキどもが言葉を失って顔を青くしている。この手のハッタリ話は得意だった。
 一緒につるんでいる悪ガキども以外にも、絵美をいじめる奴は多かった。頭の悪い馬鹿女をいじめることでストレスを発散したり、自分が上位に立っていることを再確認して優越感に浸りたい奴は多い。
 そんな連中には、祐輔がヤキを入れた。女子の中にも絵美をいじめる奴がいたが、バケツの水を頭からぶっ掛けてやった。
 まもなく、学校で絵美をいじめる奴はいなくなった。
 絵美をいじめから守ったご褒美だといって、慶子は好きなときにヤらせてくれた。仕事終わり間近の時間にアパートの窓の下で立っていると、慶子が窓から声をかけてくれた。
 呼ばれた祐輔は、尻尾を振って飼い主に駆け寄っていく子犬のように慶子の部屋に飛んでいき、慶子の体にしゃぶりついた。
 毎日湧き上がってくる思春期男のすさまじい欲望を、祐輔は慶子の体で発散し、満たした。祐輔は 一日おきに慶子を抱いた。
 慶子を抱き始めた頃、彼女はほとんど自分のことを話さなかったが、やがてぽつぽつとその不幸な過去を語りだした。十五でやくざの女になり、十六歳でそのやくざに風俗で働くことを強要された。それ以来、この世界で働いているといった。絵美の姉の茉莉を生んだのは十七のときだったらしいが、父親はそのやくざではなかったらしい。父親が誰なのか見当もつかないと言って笑っていた。
 歳を聞くと三十五歳だといった。
「二十代に見えるでしょ?」
 祐輔は苦笑いしながら頷いた。絵美の母親なので自分の親と同じくらいかと思っていたが、貫禄があるからもっと年上にも見える。
「ちょっと借金があって、この歳になってもこんなところで客取ってるんだよ。もうだいぶ返したけどな」
 そう言って、慶子は寂しそうに笑った。
「このアパートには八人の女がいるんだよ。皆同じ事情を抱えてる女ばっかりなんだ。けど、あたしが一番床上手なんだよ」
 そういって慶子は自慢げに何度も同じ言葉を繰り返した。
 慶子は祐輔のペニスが大きいといつも褒めた。そして、女の体の詳細についてレクチャーした。
「あんた、すごいわ、ここが。大きなチンポ。大人でもそんなの、なかなかいないよ。あんた、本当に十五歳?」
 そう言って、慶子は祐輔の目の前で脚を広げて、自ら性器を曝け出した。濡れそぼった秘唇を指で左右に大きく拡げ、祐輔を誘った。
「いい男になりたけりゃ、自分勝手なセックスしたらだめだからね。いつも女を感じさせることを考えないと」
 そういって、女の体の攻め方を指導した。祐輔は慶子の言うとおりに、慶子に教えてもらった通り、女のツボを力を強めたり速く擦ったりした。慶子はそのたびに、叫びながら体を痙攣させてエクスタシーに達した。
「気持ちよかった……。なあ、女をいかせるのは簡単だろ? でも、男はすぐに自分勝手に触りたがる。なんでもごしごししたらいいっちゅうわけじゃないんだよ」
 家には旦那や二人の娘たちが待っているはずなのに、慶子は仕事部屋によく泊まった。
「あんた、今日は帰らんといかんのか?」
 慶子はいつも寂しそうな顔でそう訊いてきた。
 母親は祐輔がいなくてもどうせ遊びまわっているんだと思って、心配もしない。遅くなれば玄関には鍵がかけられるし、起こすと怒られる。
「もう締め出されたから、帰られないよ」
「じゃあ、ここに泊っていきな。朝は別にやることないからゆっくりしていったらいいから」
 慶子は嬉しそうに笑う。笑うと少女のような可愛い笑顔になる。そして翌朝、慶子と交わって彼女の体内に欲望を吐き出してから学校に行った。
 そんな日々が一年間続いた。そして、中学の卒業を前にして、慶子と絡み合う日々が突然終わった。ふたりの娘たちに体を売らせて飲んだくれていたやくざの情夫を刺し殺したのだ。

 タバコの吸殻を灰皿の上で押し潰した。いつの間にか、絵美がうつ伏せのままベッドの上で寝息を立てていた。
 そろそろホテルを出る時間だ。
 絵美の丸くて白い尻を叩いた。肉を打つ音が部屋に響き、「ひゃっ!」と声を上げて絵美が飛び起きた。
「あれえ? あたし、寝てたぁ?」
「鼾かいてたぞ」
「うそだぁ」
「そろそろいくぞ」
 絵美がベッドから飛び降りる。肉付きのいい裸体に白い肌が眩しい。
「祐輔くん、激しかったよぉ。あたし、いっぱいいっちゃった」
 大きな乳房をブラに押し込みながら、いつものへらへら顔で笑っている。
「あたしが寝てる間、退屈だった?」
「お前のかあちゃんのことを考えてた」
「お母ちゃんのこと?」絵美が首を傾げる。
「早く出てくりゃいいなってな」
「仮釈放っていうの? 今年中には出られるって、お姉ちゃんがいってた」
「いいもん食わせてやれ。塀の中じゃ、碌な物が食えなかっただろうからな」
「もう決めてるの。焼肉に行くんだ。いつも三人で食べに行ってた美味しい店があるの」
 いつも三人。ろくでなしのオヤジ抜きか。慶子も慶子なりに、娘たちを大切にしていたのだろう。絵美も、母親が殺した義父のことは一言も喋らない。
 安物のブラウスを羽織った絵美が振り返り、用意できたよと言いたげな目を向ける。丸い目はリスを連想させた。
 絵美の肩を抱いてホテルを出た。絵美が祐輔から靴の入ったレジ袋をひったくった。
 ホテル街を出て、安い飲み屋の並んでいる通りを歩いていると、正面に立つ女が目に入った。
「お姉ちゃんだぁ!」
 絵美がパタパタと足音を立てて茉莉に駆け寄っていく。
「よう」祐輔が苦く笑って右手を上げた。
「金、払えよ」
 茉莉が絵美の頭を撫でながら、こちらを睨みつけている。
「祐輔君はいいんだよぉ」
 絵美が泣きそうな顔で姉を見ている。
「あたいらは遊んでんじゃないんだ。金、払わないならケツ持ちにチクるぞ」
「だから、いいんだって」絵美が姉の手を掴みながら必死で懇願している。
 祐輔はポケットに手を突っ込んだ。しわくちゃの一万円札を取り出し、絵美に差し出した。
「今日、その靴買ったからこれだけしかねんだ」
「だから、いらないって」
 金を受け取ろうとしない絵美の手を取ると、その中に札を押し込んだ。そして、絵美が持っているレジ袋を取り戻して彼女たちに背を向けた。

愚かな毒鼠どもの眠れない夜 5


5.初めての女

 田辺は黙って絵美の前から姿を消した。鉄工所は普段と同じ様子だったが、あの日以降、田辺の姿を見ることはなかった。
 訴えられることは覚悟していたが、祐輔たちが捕まることはなかった。女子中学生を買っていたことがばれるのを恐れたからなのか、警察にも伝えなかったらしい。
「田辺さんから連絡が来なくなったんだぁ」
 週に一回ヤっていた上客からの連絡が途絶え、最初は絵美も気にしている様子だったが、やがて忘れてしまったのか彼女も田辺のことは何も言わなくなった。
 どうして田辺に対してあれほどの怒りを覚えたのか。いざ鬱憤を晴らしてしまうや、そもそも何に対して怒っていたかすら思い出せなくなってしまっていた。思春期の苛立ちをぶつける相手が欲しかっただけなのかもしれない。
「おまえ、太った変態親父とバイシュンしてたんだろ?」
 学校の不良男子たちはいつも面白がって絵美をいじめていた。絵美はそれを、男子たちが自分と親しくしてくれていると思っていたのか、嫌がる素振りは見せなかった。絵美には女子の友達がいなかった。バカな自分には友達なんてできないと思っていたので、自分を馬鹿にする男子たちに、絵美は懸命に愛想笑いを浮かべていた。
 そんな友人たちの絵美へのいじめを、祐輔は特に止めようとしなかった。絵美はいじめられ、馬鹿にされて喜んでいるのだから放っておいてもいい。そのときは本気でそう思っていた。
 不良たちは絵美にセックスをさせろよと、冗談っぽく言っていた。しかし、絵美とヤった奴は誰もいなかった。初体験を絵美で済ませるのは簡単だが、そうするのは恥だと誰もが思っていたのだ。

 学校の裏手に、使えなくなった冷蔵庫やエアコンなどの電気製品が置かれている空き地があった。取り囲むビルの壁に窓はなく、どこからも見られることはない。油と埃で汚れきったエアコンの室外機が、いつもぶうんと低い音を立てていた。辺りにはオイルの刺激臭臭いが漂っている。
 陽当たりも悪いこのゴミ捨て場が、仲間たちのたまり場だった。タバコを吸って酒を飲んでお喋りして笑い合う。
 仲間がいれば怖いものなどない。誰にも負けない。自分たちは無敵だと思っていた。
 その日も、たまり場で散々騒いだ後だった。
「お前、笹井中の中上か?」
 帰り道、後ろから声をかけられた。振り向くと、見覚えのある男が立っていた。この辺りにいつもいる、どこかの組のポン引きだ。
「そ、そうだけど……」
「ちょっときてくれよ」
 男が無愛想にいった。
「なんですか?」
「姐さんが呼んでいるんだ。ついてこい」
 何のことかわからなかったが、振り切って逃げたところで狭い街だ。すぐに見つかってしまう。
 仕方なく男の後をついていくと、古いアパートの前で止まった。
「二階の端の部屋だ。階段をあがって部屋に入りな」
 祐輔は恐る恐る階段をあがり、部屋のドアを開けた。寝巻きを着た女が、胡坐を掻いて和室の床に座っていた。派手な女だった。
「あたし、誰だか知ってるかい?」
 見覚えがあった。この辺りで有名なロクデナシ家族。
「前野さんのお母さん……?」
「あんたが中上君か。絵美から聞いてたけど、不良グループのリーダーなんだって?」
「まあ……」
 絵美はそんな風に俺のことを母親に話していたのか。
「部屋にあがりな」
 玄関をあがる。六畳間に夜具が一つ置いてあるだけで、生活の匂いはなかった。流しの傍に出前の丼が一つ置いてあった。
「絵美が学校でいじめられてるって本当かい?」
「からかわれているだけで、いじめられてるのとは違うと思うけど」
「あの子は学校でいじめられるっていってたけど」
 かまってもらえて嬉しいのかと思っていたが、男子にいじめられている自覚はあったのか。
「でも、中上君だけは私をいじめないんだって、いつもいってるんだよ。あの子、あんたのこと、気に入ってるみたいだね」
「そうかなあ……」
「頼みがあるんだけど」
 女が床から立ち上がった。大きな乳房が揺れる。
「学校で、あの子のことを守ってやってくれないかい? いじめられてたら助けてやって欲しいんだよ」
「そ、それは……」
「まあ、ただでとは言わんけどね」
 そういうと、絵美の母親は祐輔の前に立ち、するすると寝間着の帯を解き前を広げた。
「うわあ!」
「あんた、まだ童貞かい? 女の体、見た事ないんだろ? 見せてあげる。これも何かの縁だし。もう客はこないから、ゆっくりしていきな」
 祐輔は露になった女の裸に見入ってしまった。口もきけないほどに興奮し、身体がブルブルと震えてきた。極度に緊張しているのに、股間のモノは痛いほどに勃起してきた。
 絵美の母親はケラケラと笑い、祐輔の前に座った。
「そんなにがちがちに緊張しなくていいだろ? ほら、触りたいところ触っていいんだよ」
 ググッと歩み寄り、祐輔の顔のすぐ間近に乳房を摺り寄せてきた。
「で、でも……俺、お金なんか……」
「あんたから金取ろうなんて思ってないよ。学校で絵美を守ってもらうお礼に筆下ろししてやるっていってんだ」
 絵美の母親は祐輔の前で脚を大きく広げ、自分の股間に手を持っていき、指で陰唇を開いて見せた。
「あたしも妙に興奮してきたよ……。うふっ、何を固まってんのよ……そんな調子じゃ、何もできないよ。もっと気を楽にして、あたしのカラダに触るの……ね、わかった?」
 絵美の母親はそう言うと、いっそう近づいてきて祐輔の手を取り、乳房に触れさせた。
「あたしのオッパイ、大きいだろ? 絵美がオッパイ大きいのはあたし譲りなんだよ」
 絵美の母親は祐輔の手を取るともう一方の乳房を揉ませた。
「ああ、そう、その調子……乳首が立ってきたよ……下の方も、弄って……」
 絵美の母親が、ドサッと布団の上に仰向けに転がった。むっちりした太股を左右に開き、膝を立てた姿勢になった。その付け根で女性器が濡れ光っていた。
「ほ、ほんとにいいの?」
 祐輔はオズオズと訊いた。日頃不良を気取って遊び歩いている姿は無く、純情な童貞少年そのものだった。
「いいよ、早く、早く触って……」
 絵美の母親は、鼻に掛かった声で言った。  
 祐輔は屈みこむ様にして、指で絵美の股間を弄り始めた。粘るような湿り気を感じて指先に心地よかった。ただ闇雲に擦っていると、絵美の母親は自分から手を伸ばして祐輔の腕を掴んだ
「ここ……ここが女の一番感じるところ。ここを指の腹で捏ね回すんだよ」
 そう言って絵美は祐輔の指を陰核へ導いた。
 祐輔は言われた通り指の腹でゆっくりと捏ねると、絵美の母親は大きく腰を揺さぶってよがり声を上げた。
「さあ、あんたも裸になるのよ」
 そう言って絵美は祐輔の上着を脱がし、ズボンを脱がした。祐輔が慌てて手で股間を隠すと、「隠さんでもいいでしょ?」といってその手を払い、下着を脱がせた。
「さあ、おいで」
 絵美の母親は足を広げ、性器を露わにして祐輔の手を引っ張った。
「はやくおいで。ここだから」
 祐輔も決心して狙いを定めて身体を重ねた。絵美の母親はそのまま体の向きを変えると、祐輔の勃起に手を添えて濡れっそぼった秘唇にあてがった。
「ゆっくり押し込んでみ……」
 祐輔は言う通り腰をゆっくりと押し出していった。脈打つ太いペニスが彼女の肉びらを割った。祐輔はゆっくりと絵美の母親の奥へと突き立てていった。

愚かな毒鼠どもの眠れない夜 4


4.バイシュン女子

 中学の時だった。
 絵美はあまり学校に姿を現さなかった。学校に来ても、気が付けばいつの間にかフラっと教室からいなくなっていた。しかし、不良でもなければ登校拒否でもない。父親はやくざで母親は売春婦。姉の茉莉も高校にはいかず、ホテル街のそばで援助交際をして金を稼いでいた。
 茉莉は気が強く、頭もよかった。中学を卒業するとろくでなしの父親から離れ、体を売って一人で暮らしていた。しかし、絵美は頭が弱く、父親の言いなりで体を売っていた。先生もそのことを知っていたが、絵美の父親が怖くて見て見ぬふりをしていた。
「おまえ、バイシュンしてるって本当か?」
 祐輔は絵美に訊いたことがある。まだ女を知らなかったとき。女と早くやりたくて仕方のなかったとき。バカな絵美にうまくとりいれば、やらせてもらえるかもしれないなんてスケベ心もあった。
「そうだよぉ。私って高い女なんだって」
 いつもの舌足らずな声で、あっけらかんとそう言い放った。
 発育のいい女子中学生と一発やれる。そんな触れ込みが近所で広がっているのも知っていた。頭の弱い絵美は、口答えもせずに父親のどんないうことも聞いてくる、やくざの父親の貴重な金づるだったのだ。
「お父さんはね、私さえがんばって稼いだら、家族がみんな幸せになれるんだっていうんだよ」
「んだよ、都合よくつかわれてるだけじゃねえか。毎日男とやってんのか?」
 絵美はヘラヘラ笑って「そうだよぉ」と答えた。
 絵美とこの父親は血が繋がっていない。姉の茉莉とも父親が違う。そもそも、絵美は本当の父親が誰なのかも知らなかった。
「でも、客は頭の禿げた太ったオヤジばかりだろ? 気持ち悪くねえのかよ」
「平気だよ。お腹なんてぷよっとしてて可愛いよ。それにねえ、若い子よりもエッチの時優しいし、上手なんだよ。たまに気持ちよすぎてオシッコ漏らしちゃったりすることあるもん」
「マジかよ」
 祐輔は熱くなってくる股間を絵美に知られないようにするのに必死だった。
 絵美は愛嬌があって可愛らしい知恵遅れだった。他人の悪口を言ったりするのも聞いたことはなかった。
「じゃあ、どんな男とやるのが嫌なんだよ」
「そんな人いないよ」
「嫌じゃないのかよ」
「うん、全然」
「それは金がもらえるからか」
「うんとねぇ……。お金もらわなくっても嫌じゃないよ」
「じゃあ、セックスが好きなだけなんじゃねえか」
「そうだよ」
「じゃあ、俺にもヤらせろよ」
 思い切って言ってみた。
 絵美はけらけら笑いながら「いいよぉ」と答えた。
 マジか?
 絵美とやれる。そう思うだけで足が震えてきた。
 だが、祐輔が絵美に手を出すことはなかった。
 絵美に手を出したことがばれたら父親に何をされるかわかったものではなかった。金を払えば問題なかったが、そんな金はないし、そもそも金があれば絵美で初体験を済ませることもなかった。
「田辺さんって、いい人なんだよぉ」
 いつもの鼻にかかって間延びしたバカっぽい話し方で、絵美は田辺のことをよく話した。田辺は学校の近所の鉄工所の社長で、絵美の上客だった。
「ただのスケベおやじだろ?」
「そんなこと、ないよぉ。お金いっぱいくれるし、いい人だよお」
「金をくれるからいい人なのか?」
「えっとねえ。エッチも上手だし、終わったら私のアソコとか洗ってくれるし」
「ただの変態じゃねえか」
「それに、いつも美味しいものをご馳走してくれるの。駅前のレストランのハンバーグ、とても美味しいんだから」
 そういって、絵美は幸せそうに笑った。
「しけてやがんの。あそこ、ただのファミレスだろ?」
 その時、田辺に対して覚えた激しい怒りは、嫉妬だったのかもしれない。

「ぶちのめしたいスケベおやじがいるんだ」
 そういって、仲間たちを呼び出して、襲撃計画を打ち明けた。同じ学校の不良仲間。中年親父をリンチできると聞いて、誰もがわくわくしていた。
 コンビニの前でタバコをふかしながら待った。田辺が絵美とヤり終えた後、この横にあるファミレスに必ず立ち寄るのは知っていた。
 コンビニの前で待った。
 やがて、一台の車がファミレスに入った。車から降りてきたのは、絵美と見覚えのない太った中年親父。
 あの男が絵美とヤったのか。そう思うと、胸の奥からふつふつと怒りが湧いてきた。
「あれ、あいつ、前野じゃないのか?」
 絵美を見つけた不良仲間が眉を潜めた。
「あいつ、きっとバイシュンしてたんだぜ」
 仲間たちが絵美の悪口を言い始めた。別にそれを咎める気はない。俺と絵美はそんな関係じゃない。言いたい奴には言わしてやればいい。
 二人は三十分ほどで店から出てきた。「早漏だな」といって、仲間のひとりが笑う。
 絵美と男は店の前で別れた。絵美の姿が消えた後、男が車のドアを開けた。
 全員で物陰から飛び出し、車の前を塞いだ。
 田辺が動き始めた車を駐めて降りてきた。
 別にこの男に恨みはない。むしろ、絵美を可愛がってくれている。
 しかし、絵美とヤった。
「何だ、おまえらは」
 相手が子供ばかりだったからなのか、車から降りてきた田辺が偉そうな態度で祐輔たちを睨んだが、皆が金属バットを持っているのに気付いて、顔を引きつらせた。
「お、お前ら、なんだよ……」
 祐輔が一歩前に出た。
「社長が女子中学生とヤってんじゃねえよ」
 さらに踏み込むと、膝を狙ってフルスイングした。一発で膝の骨を砕くことに成功した。
 田辺が苦痛のあまり、悲鳴を上げた。地面に崩れたところに、他の仲間たちが襲いかかった。
 皆で金属バットを振り下ろしたが、頭だけは避けた。殺してしまっては面倒なことになる。絵美のためとはいえ、少年院に何年も閉じ込められるつもりはなかった。
「奥さんと子供を裏切ってんじゃねえよ!」
「中学生女子とセックスするなんて、マジありえねえ!」
「てめえは変態か!」
 女子中学生と肉体関係を持つ変態オヤジへの憤り。
 誰もが息が上がるほど興奮していた。
 楽しかった。
 祐輔が田辺の髪を掴んで無理やり起きあがらせ、顔面を窓ガラスに叩きつけた。
 何度も繰り返し叩きつけた。
 車の窓ガラスに、血と鼻水らしき粘液の混じったものが飛び散った。

愚かな毒鼠どもの眠れない夜 3


3.白痴の女体

 湯気が、バスルームに立ち込めている。
 軽くシャワーを浴びて、浴槽に入る。
「狭いよぉ」
 先に浸かっていた絵美は、笑いながら両手で湯をすくいあげ、顔を洗う。
「ここに座れよ」
 祐輔が浴槽の縁を叩くと、絵美が下半身を横たえた。ふっくらとした若い肢体。大きな乳房が揺れた。粉雪のように白い肌が、うっすらと桜色に染まっている。
 祐輔が絵美の肌に指を滑らせた。
「やだぁ。くすぐったいよぉ」
 絵美の薄桃色の乳首が固くしこった。
「あ……ああ……」
 乳首を口に含み、股間に手を滑り込ませる。皮を被った肉芽を指腹で刺激した。細い喘ぎが絵美の喉から漏れる。
 絵美の体臭。絵美のぬくもり。長い間抱いてきた、馴染んだ女の体。
 ゆっくりと中指を内部に挿入する。内部はうなるように熱く煮え滾っていた。絵美は苦悶の表情を作った。
「ああ……んん……ッ」
 絵美が昂ぶってきた。しとどに濡れる紅百合の花弁。溢れる蜜液が祐輔の指を汚す。
「今日はここに三本もぶち込まれたのか?」
「祐輔くん、ひどぉい」
 多くの男を飲み込んできたはずなのに、色素の薄い花弁はまだ初々しく見える。
 舌足らずな声で喘ぐ絵美。魅力的な丸みを帯びた真っ白い臀部に、大きくて形の良い紡錘型の乳房。
 細く筆で引いたように、眉毛をすらりと整えている。
「あああ……ああ……ッッ」
 絵美の呻き声が激しさを増した。潤んだ瞳が輝く。眼を閉じた。
 やがて、絵美が体を震わせて達した。
「次は、祐輔君がここに座って……」
 絵美が湯船から出る、祐輔が立ち上がった。ペニスは固く勃起して、先端を天井に向けている。
 そそり立ったペニスを、絵美が口に含んだ
 根元をそっと握り、切れ込んだミゾや首のまわりを舐め回した。浅くくわえ、口蓋で締めつけたり緩めたりしながら、舌をあちこちに這わせる。左右に、前後に、嬲っていく。
 思わず声が漏れる。怒張したペニスが、絵美の口の中で快い。絵美が口から抜き、先端を軽く握って親指でいじりながら、陰茎の裏側を細かく舐め、唾液でベトベトにしていく。
「ねえ、ベッドにいこ……」
 手早く体をバスタオルで拭くと、二人は縺れるようにベッドに倒れこんだ。
「あっ……んっ……ん……ん……はぁ……」
 絵美は驚くほど敏感になっていた。絵美に愛撫されるうちにすっかり堅くなっていた祐輔のペニスも、ますます堅さを増していく。
 絵美の股間で舌を這わせた。絵美の膣はぐっしょりと濡れていた。むしゃぶりつき蜜をすすると、絵美は一段と高い声を出した。そして祐輔の頭を軽くおさえつけた。
「ねえ……」
 絵美が祐輔の顔に向けて陰部を押し付けてきた。絵美の性器がパックリと口を開けていて、中まで丸見えだった。
 絵美の性器の周りは毛深かったが、指で穴を広げると、中は綺麗なピンク色をしていた。絵美がいとおしく感じた。思いっきり舐めていると、絵美も祐輔のペニスを激しくしゃぶった。
 体を入れ換えて祐輔が上に乗った。絵美は仰向けに寝て、祐輔を迎え入れようと目の前で脚を広げた。
 祐輔は絵美の脚の間に腰を割り込ませた。絵美が勃起している祐輔のペニスを握り、濡れそぼった股間にあてがった。
 絵美に導かれ一気に中に入った。祐輔が腰を前後に動かすと、絵美が激しく喘ぎだした。
「はぁっ……あぁ……あぁ……あああっ……いいっ……」
「気持ちいいか?」
「うん、いい……気持ちいい……」
 祐輔は快感を貪る様に激しく腰を振った。
「ああ……もっと……もっと……ああああ……」
 絵美は喘ぎながらそういうと、自分から腰を動かし始めた。祐輔の腰がパンパンと激しい音をたてて絵美を突き続けた。
「あああああ! もうイきそう! そのまま! そのまま続けて!」
「でも……もう出そうだ……」
「まだ! もうちょっと我慢して!」
 祐輔が歯を食いしばって必死で腰を振ると、絵美は激しく悶えた。
 絵美が大きな声を出し、自分から激しく腰を動かして感じていた。絵美がだんだん強く祐輔の背中を抱き締めてきた。
「ああ、来るっ! 来るっ! いきそう! いくっ、いくっ!」
 絵美は祐輔の目の前で激しく絶頂を迎えた。
 祐輔も同時に絵美の中に射精してしまった。
 ペニスを抜くと精液と膣液にまみれてひどい状態になっていた。絵美のパックリと口を開けた膣から精液が垂れてきてシーツの上にこぼれた。
「中に出しちまった」
「祐輔くんはいいの、中に出しても。気持ちよかった?」
「ああ」
 絵美は荒い息のまま、布団の上でぐったりしていた。祐輔はティッシュでお互いの体を拭いた。
「絵美って……相変わらず声、でかいな」
「そう……?」
 絵美が抱き着いてくる。彼女の大きな乳房が祐輔の腕の上で潰れる。
「これ、なぁに?」
 床に置いたビニールのレジ袋を手にとって広げる。
「わあ、大きな靴!」
「ダチにせがまれて買ってやったんだ」
 健次から買ったおもちゃの靴。踵を回転させれば、中から小さなナイフが出てくる。
「なあ、絵美」
「なぁに?」
「おまえ、今、いくら持ってる?」
「ええっとねぇ……」と言いながら腕を伸ばし、ベッド最後に置いたバッグを手に取って開く。
 絵美のくたびれたバッグの中。街角で配っているポケットティッシュがぎっしり詰まっている。
「六万円あるよ」
「稼いだな」
「祐輔君、お金、ないの?」
「いいや」
 彼女に背中を向け、その場にごろりと寝転がった。
「いくらいるの……?」
 絵美が恐る恐る祐輔の顔を覗き込んだ。安物の化粧品の匂い。
「いいよ、いらねぇよ」
「ねぇ、いくらいるの……?」
 祐輔の機嫌が悪くなったと思ったのか、焦りながら恐る恐る祐輔の肩に静かに手を置いてそう聞いた。
「うるせぇな。いらねぇって言ったらいらねぇんだよ」
「じゃあ、なんでそんなこと聞いたのよぉ」
「お前が金に困ってるかどうかって思ってな」
 絵美がけらけらと笑う。
「今日、お客三人もついたって言ったよ」
「ショバはいくらとられてんだ?」
「五千円」
「ケツはヤシマ組だったな」
「うん……」
 祐輔が煙草を銜えた。絵美がライターをバックから取り出して火をつける。
「私ねえ、家、買ったの」
「家?」銜えたタバコを落としそうになった。
「お姉ちゃんと、おかあさんが出てきたときに一緒に住む家。中古で小さいけど、庭付きだよ」
「そうか。おまえのかあちゃん、もうすぐ出てくるんだったな」
 絵美の母親。脂の乗った艶のある裸体が目に浮かんだ。祐輔の初めての女。娘たちを食い物にしていたろくでなしの情夫をめった刺しにして、六年間の別荘送りになった。
「一千万もしたのよ」
「一千万!」
 思わず体を起こした。
「お姉ちゃんが出してくれたの。三人で一緒に住もうねって」
「お前ら姉妹がローンなんか組めるわけあるめえし、キャッシュだろ? どれだけ溜め込んでたんだよ」
 一千万を稼ぐために、茉莉はどれだけの男に抱かれたのか。すぐには計算できない。
「お姉ちゃん、しっかりしてるから」
「家買ったんなら金なんてねえだろ」
「ねえ、いくらいるの?」
「おまえ、しつこい」
 祐輔が絵美の体をベッドに押し倒して覆い被さった。

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