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魔女の棲む街 11


魔女の棲む街 11

 アキラが銜えたタバコに火をつけ、夜空に向かって煙を噴き上げる。
 駅前にある天使の銅像の前は、若者であふれていた。大学生風の若者のグループや仕事帰りのOLの姿も多いが、特に目立っていたのは、スマートフォン片手に誘うようなもの欲しそうな視線を周囲に送る女子高生と、色欲も露わに彼女たちの白い太腿を目で追う中年のサラリーマン風の男たちだ。
 目の前で、女子高生が中年男に声をかけている。普通ならあり得ない話だが、この辺りではよく見かける光景だ。
 援助交際。女子高生たちは今、営業の真っ最中なのだ。
 彼女たちは女子高生という自分たちの価値をよく理解している。若く瑞々しい身体は、高く売れる間に売れるだけ売っておかなくては、あっという間に価値を失ってしまう。誰もがバスに乗り遅れまいと必死になって、はち切れそうな太腿を露わにして男を誘う。
 最近の相場は諭吉が2枚だと聞いている。あいつらがオヤジに抱かれる代償。安いビッチどもだ。
 人混みの中から女子高生風の少女を連れたチンピラが姿を現してこちらに歩いて来た。女子高生のほうはなかなかの上玉だ。チンピラが高級そうなスーツを着た中年男に女子高生を紹介している。少女の管理売春に手を出しているどこかの組のチンピラなのだろう。連中は出会い系サイトや出会いアプリで客を募っては、親父たちと女子高生たちの仲介をしている。連中を通した場合の値段は諭吉3枚。少々高めだが、中年親父たちは可愛くていい身体をした正真正銘の女子高生を抱くことができる。その内2枚が女子高生の取り分で、客を連れてきたチンピラが一万円を手に入れる。
 俺もいつか、あいつらみたいに女で食うような男になってみせる。俺はいい男だ。女たちが尻尾を振って寄ってくる。そんないい男が女で稼がないでどうする。
「アキラ!」
 明るい茶色に染めた髪を揺らしながら、萌恵が小走りで寄ってきた。
「ごめんね、遅くなっちゃって」
 両手を合わせ、上目づかいでアキラの表情を窺っている。俺を待たせるとはいい度胸じゃねえか。そう言おうとしたが、大きく前に張り出した萌香の胸を見て、思わず口元が緩んでしまう。顔は並みだが、いい身体をしている。絵里もいい身体をしているが、萌香のほうが男をそそらせる色気がある。それに、この女の舌技は素人離れしている。どんな男でもほんの数分でいかせてしまうのだ。風俗は未経験だといっていた。いったい誰に教わったのか、聞いても誤魔化すように笑うだけで教えてくれなかった。
「いいさ。俺は萌香に待たされるのも楽しみなんだ」
「ほんとに?」彼女の目がうるっと光る。
「さあ、飲みに行こうぜ」
 萌香と肩を組んで、雑踏の中に足を踏み入れた。
 先月、繁華街の路肩で暇そうに友人と煙草を吸っていたところを、亮輔と二人でナンパした。酒を飲ませその日のうちにホテルに連れ込んだが、白くてすべすべの肌、でかい胸と尻肉、それにフェラのうまさに興奮し、四発もしてしまった。
 今では萌香はアキラにぞっこんだった。そして、アキラのために稼いできてくれる。
 店に入り、アキラはビール、萌香はレモンの酎ハイを注文した。
「はい」萌香がお金を差し出した。諭吉が2枚。
「新型のスマホが欲しいって言ってたでしょ。少ないけど、足しにしてよ」
「どうしたんだよ、これ」
「アルバイト」萌香ら意味ありげに微笑む。彼女が援助交際をしているのは明らかだったが、アキラは何も言わない。俺に貢ぐために、この女は当然のことをしているまでだ。
「サンキュー、萌香」
 周囲を憚らず、萌香にキスをする。彼女は恥ずかしそうに肩を竦めた後、きゃあきゃあ言ってはしゃいでいる。この女は俺に惚れている。これからも、金を稼いで運んできてくれるだろう。
 酒を飲み、料理をつまみながら、萌香がその日一日の出来事を離し始めたが、アキラには全く関心はなかった。彼女のことでアキラが関心あるのは、彼女が持ってきてくれる金だけだった。
「ねえ、ねえ。面白いDVDを手に入れたの。アキラの好きそうなの」
 タバコに火をつけようとした時、萌香が顔を覗き込んできた。
「何だよ、エロいやつか?」
「レイプもの」
 萌香が笑う。
「すごいリアルなの。アキラの部屋で見ようよ」
「いいぜ、一発やりおわってからな」
「やだぁ!」萌香が手を叩いで嬉しそうにはしゃいでいる。本当に好きものの女子高生だ。
 飲み終わり、タクシーでアキラの部屋に行く。飲み代もタクシー代も萌香が全部出した。
 部屋に入ると、アキラは後ろから萌香を抱きしめた。
「早くやろうぜ」
「ちょっと待ってよぉ……」
 手を後ろから萌香のショーツに滑り込ませる。
「もう、ぐしょぐしょじゃねえか」
「あん……」
 萌香がアキラにキスをして舌を絡めた。キスをしながら服を脱がせていく。
 全裸の萌香を布団に寝かせると、脚の間に腰を入れ、彼女に覆い被さった。彼女が甘い声を上げて抱きついてきた。

 中でいいといったので、遠慮なく萌香の中に放出した。
「あん、漏れてきたよぉ」
 萌香が慌ててティッシュを股間にあてがう。そしてきれいに拭うと、アキラに抱きついてきた。
出したらもう萌香に用はない。
「お前が借りてきたDVDでも見ようぜ」
 抱きついてくる萌香を引き剥がし、アキラがバッグに手を伸ばした。取り出したDVDをプレーヤーにセットする。
 テレビ画面の中で女子高生らしき少女に男たちが覆いかぶさっている。無修正のレイプものだった。
「でけえチンポ」
「アキラのほうが大きいよ」
 女子高生が泣きじゃくっているのに、構わずに犯す。やり終えると、連中は注射器を手にした。シャブを打つ。再び女と交わった。女が今度は悦びの声を上げる。
「エスするとそんなに気持ちいいのかな」
「やめられなくなるっていうぜ。お前もやってみるか?」
「やだぁ。アキラ、手に入るの」
「何でも手に入るぜ」
 レイプDVDが終わった。
「噂だけど、この子、地元の女子高生だって。ネットに載っていたもん」
「だとすると、俺の知り合いにも出てもらいたいな。興奮するじゃねえか」
 アキラがタバコを銜えた。
「これ、本物じゃないよね? 裏風俗に売られた悲惨な女子高校生って噂もあるのよ」
「まさか」
 DVDが終わった。シャブ打って女子高生をひたすらレイプし続ける、鬼畜ビデオだったが、なかなかの内容だった。
 アキラは萌香を引き寄せると、股間に手を突っ込んだ。
「あっ、やだぁ!」
「なんだよ、びしょびしょじゃねえか。あんなビデオが好きなのか?」
「レイプものって興奮するじゃん。リアルにされるのはごめんだけど」
「じゃあ、もう一発やるか」
 DVDを取り出す。画面がニュース画面に代わった。ダムの傍で暴走族の少年の死体が見つかったと報じている。
 被害者の名前がテレビ面に出た。
 坂上亮輔。
 殺されたのは亮輔だった。


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