野獣よ暁に吼えろ 11
野獣よ暁に吼えろ 11
露店が終わる時間に、一平太は明生のところに戻った。二人でテントをたたみ、うなぎを袋に入れる。明日もあるので、水槽はそのままだ。
「祭りはどうだった?」
「よかったっす。なかなか迫力があって」
「意外だな。お前が神輿や山車に興味があるなんてな」
聡子と一緒にいたことを、なぜか明生に言う気にならなかった。
ふたりで宿に戻ると、借りている倉庫にうなぎを運び込み、水槽に移してエアのポンプのスイッチを入れる。蓋を被せて暗くすると、うなぎが落ち着くんだと明生が言った。
「こうするとうなぎが死なないんだ」
これで部屋で飲んでいてくれ。一万円札を一平太に渡すと、明生は用があるといって昨日と同様、一人で出かけていった。ひとりで何をしているのか、一平太に話そうとしないのが気になった。
酒を買って部屋で一人で飲んでいると、誰かが襖を叩いた。
「空いてるよ」
声をかけると、部屋に入ってきたのは聡子だった。
「お一人?」
「あ、はい。明生さんは用があるといって、出かけたっす」
「用って何?」
「さあ……聞いてないっす」
「そう」
聡子が一平太の横に腰を下ろした。
「私も何か飲もうかな」
「そうすっか、じゃあ、何か買ってきます」
「いいわ。下から何か持ってくる」そういうと、聡子が部屋から出て行った。しばらくして、聡子が鍋料理をこしらえて持ってきた。
ふたりでビールで乾杯し、鍋をつついた。労働の疲れと酔いと満腹で、心地よい眠気がやってきた。
「疲れたでしょ、お風呂沸いてるからどうぞ」
「は、はい。ありがとうございます」
聡子に勧められ、部屋を出て風呂場に向かった。
風呂からあがって部屋に戻ると、風呂場に向かう聡子とすれちがった。浴衣の前から、豊かな谷間が目に入り、思わず目をそらせる。
「私もお風呂をいただくわね」
「どうぞ」
部屋に戻るとテーブルが片付けられており、横には布団が敷かれていた。
用意されていた浴衣に着替えて、ビールを飲んでいると、ドアがノックされた。
「開いてるっす」
明生が戻ってきたと思ったが、入ってきたのは聡子だった。髪をアップにし、薄化粧していた。白い浴衣の胸元が開いている。
その格好を見て、一平太の胸は早鐘のように高鳴り、鼻の穴が広がった。胸も尻も大きく張り出したグラマーな体形を隠そうとせず、聡子が微笑んだ。
「私の部屋で一緒に飲まない?」
「聡子さんの部屋でっすか?」
一平太が驚いて聡子を見た。
「大丈夫。代貸しは今夜はここに来ないわ」
「でも……」
「さあ、いきましょ」
聡子に手を引かれ、一平太は慌てて立ち上がった。
聡子の部屋は綺麗に片付けられていた。聡子は、部屋の冷蔵庫から冷えたビールとグラスをもって、膝を崩して一平太の傍らに座った。白粉の匂いが鼻腔をくすぐる。
「今日は疲れたでしょ?」
聡子が一平太の顔を覗き込んで聞いてきた。
「は、はい」
ふたりでグラスを合わせて、ビールのグラスを空けた。目を逸らそうとしても、視線は聡子の体に向かった。聡子の身体を目で追っているうちにムラムラとしてきた。
一平太が顔を上げた。聡子が潤んだ瞳で一平太を見つめていた。
「あ、あの、聡子さん」
聡子が一平太の大きな身体を抱いた。おとなしく一平太の腕の中でキスを待っていた。次の瞬間、一平太の唇が聡子の唇を覆っていた。聡子は何も言わずに受けとめた。そして、一平太の顔を撫でながら、愛しくキスをした。
静かに抱き合ったまま、ふたりは唇を合わせた。初めは抱かれるままだった聡子が、手を一平太の背中をなでまわした。
一平太も聡子の手の動きに合わせて、聡子の体を撫でまわしました。童貞だった一平太は、キスをしながら聡子の体を撫でまわすのが精一杯だったが、やがて浴衣をたくし上げて、裾から手を入れた。
聡子は下着を着けていなかった。
「隣の部屋に連れて行って……」
一平太は聡子の身体を抱き上げ、隣の部屋の襖を空けた。床に寝床が敷かれていた。一平太が聡子の身体をゆっくり布団の上に横たえた。
聡子が上体を起こして座り、一平太を抱きしめた。繰り返しキスをしたあと、聡子を布団の上に寝かせて覆いかぶさった。
太ももで聡子の股間を割って足を開かせるようにした。
「したい……一平太くんと」
「でも……」
「私じゃ嫌? 理想の相手とは程遠い?」
「そ、そんなこと、ないっす」
聡子は少し微笑むと力を抜き、少し足を開いた。その誘惑に誘われるように、一平太は再び聡子に覆いかぶさった。
「一平太くんは私としたいの?」
聡子が念を押した。一平太は真剣に聡子を見つめ頷いた。
不意に下半身に何かが触れた。聡子が手を伸ばし、股間に触れたのだとわかった。
「あ、あの!」
「じっとしていて……」
聡子は一平太の浴衣の帯を解いて前を開いた。一平太のブリーフを、聡子は両手を添えてずらした。硬く勃起したペニスが、弾けるように飛び出してきた。
気がついたら、キスされて、浴衣を脱がされて裸にされていた。
「一平太が脱がせて……」
震える手で聡子の浴衣を脱がせた。思った通り、見事な身体していた。
聡子に促されるまま、布団に横たわった。 一平太は聡子のどこを見ていいのか、目のやり場に困った。顔を見るように努めた。
聡子は仰向けに寝ると目を閉じた。上に覆いかぶさって聡子の両足の間に腰を入れると、聡子は股を開いた。
「本当に初めて?」
「は、はい」
聡子は一平太の股間に手を伸ばして勃起したペニスを握り、自分の入り口にあてがった。
聡子はそっと一平太のものを指で支えるようにして、自分の中へと導いた。そして瞼を閉じた。一平太はゆっくりと腰を突き出した。