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野獣よ暁に吼えろ 12


野獣よ暁に吼えろ 12

 町は祭りの真っ只中だった。
 山車が駆け抜け通りから水がかけられ、男たちは身体中から湯気を立てていた。勇壮という言葉がピッタリの光景だった。
 笙子は道端で引き込まれるように見入っていた。気づけば、太陽はすでにオレンジ色の日を差しており、周囲に焼けたような色合いを生み出していた。
 夕闇の太陽が静かに息を引き取ろうとしていた。夜が始まっていく。通りに並んでいた露店が店じまいをはじめても、通りの人通りは絶える様子はない
 笙子は人ごみを避けて、実家へ向かって歩き出した。ふうっと一息つく。特にやることも無い。
 車が目の前に停車した。外車だった。ドアが開き、運転手が降りてきた。
「あ……」
 男の顔を見て、笙子は声をあげた。
「よお」
「南原君」
「南原君はないだろう」
「じゃあ、なんて呼べばいいの」
「昔みたいに、明生でいい」
「じゃあ、明生。どこにいくの?」
 笙子は言いにくそうに話した。
「ドライブだ。お前も一緒にどうかと思ってね」
「あなたの車?」
「まあな」
 明生は助手席のドアを開けた。笙子が車に乗り込んだ。
「なんて車?」
 笙子は戸惑いながら聞いた。乗り心地のいいシートに、高級さが漂う内装。かなり高価なスポーツカーだ。
「ポルシェだよ」
「羽振りがよさそうね。向こうで何しているの?」
「店をいくつか持っている」
「どんな?」
「女の子を使っている」
「そう、そういうお店ね」
 横に座る明生の横顔を見た。子供の頃の面影が残っている。この横顔をそっと盗み見して、中学のときは胸をときめかせていた。
「どこに連れて行ってくれるの?」
「海岸線にしゃれたレストランがある。一緒にどうだ?」
「いいわね」
 車は走り続け、町を出て道幅の広い道路に出た。アクセルを踏み込む。急な加速に、笙子が小さな悲鳴を上げた。
 外を見ると、水平線の遠くに灯りがまたたき、その一つ一つの灯りが、逆に闇へと誘っているように見える。漁火だった。
「あの灯りって強いのかしら?」
「集魚灯か。近くでまともに見ると目が潰れる」
「集魚灯だなんて、あなたもそんな言葉を知っているのね」
「俺のことを馬鹿だと思っていたのか」
「いいえ、ただ、意外だっただけ」
 海沿いの道路を進むと、道沿いに赤いネオンが輝いている。赤レンガ造りの洋館の佇まい。明生のいっていた通り、かなり洒落たレストランだった。ポルシェが駐車場に滑り込んだ。
 シックな店内に、クラシック音楽が流れている。海側のテーブルに案内されると、明生がワインを注文した。
「この近海で取れる魚介類を使ったイタリア料理なんだ。けっこういけるよ」
「おばさんは元気なの?」
「まあな。いい歳して相変わらず男出入りが激しいよ。まあ、お袋がそれで楽しけりゃ、別にいいんだ。間違っても、俺の兄弟ができるなんてことは無い」
「どういうこと?」
「卵巣がないんだ。卵巣がんで全部摘出した」
 笙子が息を呑んだ。
「別に命がどうのってことじゃない」
「そう、良かった」
「お袋はどうしようもないあばずれだ。ヤクザは嫌いだっていつも言っていて、じいちゃんの元を飛び出したはずなのに、結局やくざのような男とばかり関わっていたよ。でも、お袋が癌だと聞かされたとき、そんな母親でも助かってくれって祈ったよ。まあ、あんなあばずれほどしぶといんだよな。あっという間に直っちまった。それ以来、人生に後悔しないように、男遊びを楽しんでいる」
 明生の言葉に笙子がくすっと笑った。
「お前はどうなんだ。会社勤めだって聞いたぜ」
「やめたの、会社」
「なんだ、またかよ。堪え性のねえ奴だな」
「職場に、やくざの親分の娘であることがばれたの」
 明生が顔を上げた。
「遠まわしに会社をやめるように言われたの。いつものこと。所詮はやくざの娘。努力をして認めてもらおうとしても、周囲の目は冷たいわ」
 そういって、黙って運ばれてきたパスタを口に運んだ。
 食事を終えて、外に出た。笙子は素直に明生におごられた。
「ご馳走さま」
 助手席に乗ると、ヘッドレストに頭をつけた。
 車がゆっくり動き出した。窓の外を町の明かりが流れていく。
 いい気持ち。
 闇に引き込まれていくように、意識が薄れていった。

 目が覚めるとホテルの部屋にいた。ベッドの上だった。 
 手足を動かそうとしたが、まだ自由に動かせない。明生に何かを入れられたと思った。
「目が覚めたか」
 誰かが顔を覗き込んできた。
「明生……。何をしたの?」うまく舌が回らない「薬を飲ませたのね」
「今からお前をもらう」
「えっ?」
 どういうこと? そう聞こうとしたときには、明生の手が服にかかっていた。
「やめて!」身体をよじって逃げようとしたが、身体がしびれて動かない。
「ああああっ!」身体に触れられると、痺れるような快感に襲われた。
 明生が笙子の身体を押さえつけた。ブラウスとスカートを、あっという間に脱がされた。ブラジャーをはずされ、最後に残っていた小さな布切れも剥ぎ取られた。
 陶器のような白い肌に、無駄な肉のついていない体躯、豊かな乳房の頂点に、ピンクの乳首が誇らしげに上をむいている。匂いたつような女の身体が、ベッドの上にさらけ出されたのだ。
「いい身体をしているな」
「最低! あんた、そんなことする人だったの!」
「俺にだってやくざの血が流れている。欲しい女は力ずくで奪うんだよ」
 明生が服を脱ぎ捨てた。笙子は目を見張った。
 明生の裸を見るのは初めてだった。痩せて細身だが、全身が筋肉で覆われている。腹筋も太腿の筋肉も太く強そうに張っていた。地下格闘技の選手でかなりの強者だったと聞いたことがある。
「大丈夫。何かあれば俺が責任をとってやるよ」
 明生はベルトを外し、ズボンと一緒にパンツを下ろした。
 隆々といきり立った逞しいペニスが天を向いていた。すでに臨戦態勢になっている。
 笙子は明生の股間から目が離せなかった。笙子が知っているどの男性器より、明生のものは太くて大きかった。
 明生が笙子の股間に手を差し込んだ。
「あああっ! やめてっ!」
「なんだよ、嫌がってる割りにはびちょびちょじゃねえか」
「いやっ!」
 自分でもわかるくらい、すごい濡れようだった。股間から太腿の内側にかけて、溢れた粘液がシーツを汚しているのがわかる。
 明生は強引に笙子の脚を開かせると、ペニスを彼女の股間に割り込ませた。
「あああっ! 嫌!」
 笙子は言葉では拒否したが、身体は嫌がっておらず、むしろ、自分から腰を合わせしまった。
 明生は右手を添えて笙子の入口にあてがった。亀頭部が中にぬるっと入り込んできた。明生は笙子の尻に両腕を回し、ぐっと腰を上げた。
 すっかり濡れそぼった笙子の性器は、さしたる抵抗もなく明生のものを受け入れ、根元までしっかりと中にくわえ込んだ。明生の物を奥まで受け入れた笙子は、息もできないほどの激しく反応した。
 明生が腰をゆっくりと動かした。笙子の口からため息のような喘ぎ声が漏れた。
 笙子が、快感に堪えないような喘ぎ声をあげた。膣は、受け入れた明生の物の大きさや堅さを確かめるように、幾度となく収縮を繰り返した。まとわりつく肉襞に逆らうように、明生は前後に激しく出し入れした。
 笙子は自分の恥ずかしい姿を明生に見られていることに異常に興奮した。膣穴からは愛液が溢れ出し、明生との結合部分を淫らに汚していった。
 笙子は胸を突き出し、背中を仰け反らせた。膣がきゅうっと痙攣した。
 明生は笙子を仰向けにして、笙子の白い尻を抱え込んだ。アナルが剥き出しにされるのを感じる。
 後ろから明生の鋭い視線を感じて、笙子が枕に顔を伏せた。
 明生が腰を押し出すと、膣を押し開いて明生のものが再び笙子の中に入ってきた。膣壁がペニスに絡みつく。
 明生がゆっくりと、前後に揺らした。膣壁が擦れる快感で笙子が大きな声をあげた。
 笙子は泣きながら腰を振った。明生の腰の動きが速まって、後ろから深く貫かれた。
 一気に頂上まで駆け上がった笙子が大きな叫び声をあげた。そして、死んだようにぐったり身体を弛緩させた。
 明生は笙子の身体を再び仰向けにした。されるがまま足を開かれ、明生が覆い被さってきて、再び挿入した。
 同時に絶頂に導かれ、笙子は叫んだ。それが声になったかわからなかった。
 気を失っていたのは、どのくらいだろう……。
 はっとして、笙子は飛び起きた。慌てて股間に手を伸ばす。
「うそ……」笙子は明生を睨んだ。
「酷い! 中に出したのね! 私、今日は凄く危ない日なのに!」
 だが、明生は笙子を無視するように咥えたタバコに火をつける。明生の周りに白いカーテンがかかったように靄がかかる。
 そんな明生の態度に笙子は苛立った。
「子供ができたらどうすんのよ!」
「結婚してくれ」
「えっ?」
「俺と結婚してくれといったんだ」
 笙子は言葉を詰まらせた。
 明生が……結婚……? 私と……?
「な、何いってんのよ! 無理やり乱暴した男と結婚なんてできるわけ無いじゃない!」
「いっただろ。俺にはヤクザの血が流れている。惚れた女は力ずくで自分のものにするんだよ」
 惚れた女という言葉が、笙子の胸に突き刺さった。
「自分が何いってるか、わかってんの!」
「俺と一緒になるのが嫌なのか?」
「いや、その……」また言葉に詰まる。「嫌とか、そんな問題じゃないの!」
「お前が嫌じゃなければ、俺には問題ない」
 そういって、煙をゆっくりと吐き出した。

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