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処女の秘孔は蜜の味 10



10 別れの情交

 何も考えずに校舎の屋上でタバコをふかすことが、一日の楽しみになってしまっている。
 今日も教室にエリカの姿はなかった。ここまで音沙汰がないと、さすがに心配になってくる。
 ドアが開いた。
「よお」
 吾郎と光男だった。
「葉っぱは?」
 まるで辰雄からもらうのが当然のような態度に思わず苦笑いし、ポケットからマリファナとパイプの入った箱を取り出して投げて渡した。
「お前はやんないの?」
「そんな気分じゃなくってな」
 二人がマリファナをパイプに詰めて火をつける。マリファナの煙が伝わってきても、吸いたい気分にならない。
 教師との面談で海外ボランティアの話が出たことは、この二人には黙っていることにした。今そんな話を聞かされたら、二人とも憂鬱な気分になるだろう。
 マリファナで少しハイになった二人が、よそのクラスのグラマーな女子生徒の話を始めたが、辰雄は興味が無く、ぼうっと空を眺めていた。
「それで、お前はどう思う?」
「何が?」
 ところどころ話を聞いてはいたが、何を言いたいのやら辰雄にはわからない。
「おいおい、まさか聞いてませんでしたって言うんじゃあないだろうな」
 僕は天才じゃあないんだ。ボーっとしながら聞けるはずが無い。
「じゃあ、最初から言うぞ。すげえ胸とケツがでかくってよ、ヤリマンって噂なんだよ。なんか、いつも男を誘うような目をしてやがってよ。ありゃ、やれるぞ」
「あのタイプの女は、絶対あそこが臭いんだよ」
「いやいや、それくらいは我慢するべきだろう」
 付き合ってられない。
「あそこが臭いってことは病気持ちの可能性があるってことだぜ」
「抗生剤を飲めばいいんだよ」と光男。
「病気が怖くてオマンコがやれるか。そうだろ?」
「そうだそうだ」
 二人で勝手に盛り上がっている。マリファナを決めたやつの相手をするには、相手をするほうもマリファナを決める必要があるな。
 バタンと言う音が響いた。二人が慌てて後ろに手を回してマリファナを隠した。
「なんだ、綾香かよ」
 吾郎が舌打ちするが、近づいてくる綾香の顔をこわばっている。
「どうした?」
「エリカが海外ボランティアに応募したんだって」
 三人とも言葉に詰まった。
「どうしてそんなことを?」
 光男の声が震えている。だが、辰雄はどうして彼女がそんな馬鹿な真似をしたのか、知っている。
「いつ?」
「たぶん昨日だと思う。私もさっき先生から聞いたんだもん」
 綾香も知らなかったらしい。

 辰雄は学校を抜け出した。午後の授業など、受ける気分になれなかった。
 猛ダッシュでエリカか普段出入りしている繁華街に行った。
 繁華街に到着して、ゲーセンを片っ端から探したが、彼女の姿はない。
 こんな日にゲーセンにはいかないだろうと思うのが普通だが、エリカの行動は常識では測れない。
 どこに行ったんだ、あいつ。
 彼女の家を訪ねようかと思ったが、母親の男がいる自宅にいるはずはない。
 辰雄は必死に繁華街中を走り回った。彼女が立ち寄りそうなカフェやクラブやいろんな飲み屋を覗いて、彼女を探した。
 行きつけの店、初めての店、何件も回った。しかし、どこにも彼女の姿はなかった。
 結局、見つからないまま時計を見ると、夜の九時を過ぎていた。
 まさか、俺の部屋に来ているのか。そんな予感がした。
 アパートに急いで戻ると、部屋の電気がついていた。慌てて部屋に入る。エリカがベッドに腰かけ、こちらを見ていた。
「お前、どこにいたんだ?」
「家よ」
 当然でしょ、とでも言いたげな彼女の表情にイラついてきた。
「家って、お前の自宅のことか? 母親の男がいるから寄り付かないんじゃなかったのか?」
「あいつを殺してきたの」
 彼女がさらりと言った。
「殺してきたって?」
「言葉の意味そのままよ。他に何か意味があるの?」
 上着のポケットから何かの包みを取り出して辰雄の足元に放り投げた。包みの中から、血まみれのナイフが出てきた。
「マジかよ」
「海外ボランティアで向こうに渡って米軍の保護下に入ったら、日本の警察は手出しできなくなるの。それくらい日本はアメリカに頭が上がらないのよ。知ってた?」
「それで母親の男を殺したのか?」
「なかなか踏ん切りがつかなかったから。殺しちゃったら、向こうに行くしかないでしょ?」
 辰雄はため息をついてエリカの横に腰を下ろした。
「ボランティアに応募したんだってな」
「そうよ、そのつもりだって言ったでしょ。冗談だと思ってた?」
「いや」
 エリカの横に腰かけた。
「お前が覚悟を決めてたのはわかってた。だから、説得しなかったんだ。無駄だからな」
 彼女が黙って頷いた。
「島中祥子ちゃんに会ってきたわ。彼女、いい子ね」
「そうだな」
「私の代わりになる?」
「ならない。誰もお前の代わりにはならない」
 エリカがキスしてきた。
「しよ。ここにはやりにきたの、あんたと」
 辰雄が彼女を横たえる。エリカが髪を解いた。エリカが別の女のような気がした。
 服を剥ぎ取り、一糸まとわぬ女に変えた。
 沈黙に耐えかね、彼女の唇を塞ぐ。エリカの舌が口内に押し入り、辰雄の粘膜を蹂躙する。
 辰雄はエリカのグラマラスな身体から体を離し、足を大きく開かせた。エリカが恥ずかしそうに前を隠す。その手を払いのけ、股間を覗き込んだ。そこはもう溢れんばかりに濡れていた。
 彼女の身体に腕を巻きつけた。掌で乳房を転がすように掴み、腹部を撫でおろし臀部を揉みしだき、恥丘を押し転がす。エリカが身体を少し硬くする。その柔肉の谷間へ指を滑り込ませ、指先で弄った。
 エリカが息を荒げながら熱っぽく辰雄を見つめる。その表情は男を誘惑する大人の女そのものだ。大陸に渡っても、この女なら成功するだろう。
 何度も突き入れながら角度を探り、エリカの敏感な場所を探る。喘いでいたエリカの声が突然甲高くなり、体を仰け反らせて果てた。
 辰雄はエリカを攻め続けた。正常位から抱え込むように騎乗位になると、エリカは大きな乳房を揺すりながら激しく動いた。辰雄に愛撫されて乱れ喘ぐ彼女は、いつも以上に声を上げ、何度も達して体を震わせた。
 騎乗位で深く繋がった。エリカが辰雄に絡みつき締め付けてくる。震える指先で辰雄にしがみついて来る。それがやたら可愛かった。
 柔らかくて吸い付くような肌、時折見せる艶っぽい表情。辰雄の愛撫で信じられないぐらい艶っぽく変化し、辰雄のモノを飲み込んだそこはきゅうきゅうと締め付け、根こそぎ搾り取ろうと蠢く。
 この女となら、底知れない快楽の根元までたどり着けそうな気がする。その果てまでいつか二人でいってみたい。
 そのためには、もっと、もっと、抱きたかった。


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