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キチガイたちの挽歌 2



「いらっしゃいませぇ」
 営業スマイルを浮かべたウェイトレスが寄ってきた。茶髪ストレートで胸もでかい。いい女だ。三人の前を進んで窓際の席に案内する。
「ブレンド三つ」コウイチがにやけ顔でオーダーを言う。視線はウェイトレスの胸と尻ばかりを追っている。
 制服の短いスカートをヒラヒラさせながら、女が調理場に戻っていく。スカートから伸びた白い太ももがチラチラと眩しかった。
「あれ、いいじゃん!」
 コウイチが視線をウェイトレスの太腿に向けたまま話しかけた。ハヤトはその言葉を無視して、店の奥に目をやる。チンピラ野郎が女の前で下品に笑いながら何かを話している。その様子を見て思わず舌打ちする。
「スタンガン持ってきたか?」コウイチの脇を肘でついた。
「ポッケの中」
「向こうはもう食い終わっている。そろそろ出てくるだろ」
「まだ十時だぜ。これからビールでも飲むんじゃねえのか」
「女とやるだろうから、ホテルが埋まる前に出てくるさ。今の奴の頭の中は、この後どうやって女を連れ込むかでいっぱいのはずだ」
 出てきたコーヒーをさっさと飲んで三人は店を出た。指示通り、マスタングを挟むように、赤のカローラと白のスカイラインが停めてある。マスタングの運転席側に停めたカローラの後部座席にコウイチとジュンが乗り、反対側に停めたスカイラインの後部座席に、ハヤトが陣取った。
 タバコをちょうど一本灰にし終えたとき、ファミレスから奴が出てきた。女の肩を抱いている。悪いが、今夜奴は女とはできない。いや、今夜で奴の人生は終わるだろう。チンピラとはいえ、れっきとしたヤクザだ。中途半端なことはできない。
奴がマスタングの運転席のドアを開けた。スカイラインのドアを開け、ハヤトが外に飛び出す。同時にカローラから飛び出したコウイチが、背中を向けた奴の首筋にスタンガンの電極を押し当てた。奴の身体が一瞬硬直し、崩れ落ちるように地面に倒れた。
 ハヤトは何が起こったのか理解できていない女の腕をつかむと、そのままスカイラインの後部座席に引きずり込んだ。
「えっ? なに? ちょっと……!」
 後部座席で彼女は身を縮めた。
「ヤダ、何? ちょっ……降ろししてよ! なッ…! イ、イヤッ! 降ろして!」
「静かにしろや」
 ハヤトがナイフを女の鼻先にあてがった。女は目を大きく開いて息を止めた。
「おとなしくしてれば、命までは取らねえよ。オマンコが少々汚されることになるかもしれねえがな」
「い、いや……」
「じゃあ、お前も奴と仲良く海に沈むか?」
 女が身体をぶるぶる震わせながら、必死で頭を振った。ハヤトは女の両手首を後ろに回し、ガムテープを何重にも巻いた。

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