処女の秘孔は蜜の味 16
16 娼婦ハユン 十七歳
雑然とした目抜き通りを歩く。空襲で焼きだされた韓国人の路上生活者が、めぐんでくれと哀れな目を向けてくる。
十年前に中国共産党の支配下におかれた韓国国民たちは自由と平等を奪われ、家畜のような生活を強いられていた。かつて日本ボイコットを叫んでいた反日国民達がこぞって日本に脱出しようとしたが、中国軍が空路と海路を遮断したため、国外脱出もかなわず、苦難と屈辱の日々を送らざるを得なくなった。韓国を解放しろとの国連決議を無視した中国に対し、国連は朝鮮半島に軍を上陸させた。韓国全土は焦土化し、国を奪われた韓国人たちは、廃墟の街でかつての敵国民であった日本人に施しを求めている。
戦争が始まり、ソウルの街も六十パーセントが瓦礫になった。一年前までは回収しきれずに放置された遺体がそこらじゅうに転がっていて、腐臭を放っていたらしいが、今はそのときの面影は見当たらない。
目抜き通りから一本隔てた路地に入ると、雰囲気ががらりと変わる。アメリカ兵や他の国連軍兵士、徴用された日本人たちに、妖しげな女達が声をかけてくる。
「お兄さん、あたしの若い身体、抱きたくない?」
媚を含んだ顔を向けて、日本語で声をかけてくる。
「お小遣い、弾んでくれれば、サービスするよ。チンチン、がんばって、しゃぶってあげる。気持ちよくいかせてあげる。私、うまいんだから。私の身体、好きなだけ弄べるわ」
まとわりついてくる女たちを振り切り先を行くと、日本語で割烹と書かれた店の前に女達が並んでいる区域に出る。並んでいる女たちは韓国人娼婦だ。
「にいちゃん、いい子がいるよ。見ていって」
韓国訛りの酷い日本語で、老女が手まねきしてくる。
娼館「紫園」の店先に、好みの女がいた。玄関に腰を下ろした娼婦が辰雄を手招きする。
「いらっしゃい」
中に入ってきた辰雄に、女が愛想のよさそうな顔をして腕を組んできた。十七歳になったばかりの、ハユンという韓国人の娼婦だ。
店の玄関に入ると、ハユンがにっこりと笑って立ち上がり、腕を組んできた。
階段を上がり、部屋に入る。
「久しぶり」
ハユンが辰雄に抱きついてキスをした。久しぶりの女の匂いに、股間はあっという間に硬くなった。
多めに渡してやると、ハユンが目を丸くした。
「多いよ」
「チップだよ。おまえに会うのも久しぶりだからな」
「わぁ! ありがとう」といってハユンが大喜びで抱きついてきた。チップの分は店にピンハネされずに全部自分のものになる。
「タツオ、大好き。うんとサービスするね」
ハユンのシャツの胸元は乱れていた。そのままもつれ合うようにベッドに寝転がる。
下着を剥がして、白い胸をむき出しにする。メロンの実のようにたわわに実った大きな胸が、フルフルと震えている。
その豊かな膨らみを、辰雄の骨ばった大きな手がそっと包む。
「きゃっ」
ハユンが身をすくめた。そのままゆっくりと揉みしだく。
「やだ……」
辰雄はハユンの胸にしゃぶりついた。生温かい舌が胸に触れる。
「あっ、だ、だめっ」
ハユンが喘ぎ声を漏らした。
敏感な部分を舌で舐め回し、唇で吸う。胸の頂が、ぷっくりと立ち上がる。
「きゃ、やっ」
ハユンに覆いかぶさる。ハユンが辰雄の怒張を掴んで膣内に導いた。そこは既に溢れんばかりに潤んでいた。
「ハユン、つけてないぞ」
「大丈夫。病気はないよ。ワクチン打ってるし」
「そうじゃなくって……」店からはうるさいくらいコンドームをつけるように言われている。
「嫌じゃないよ。辰雄は嫌……?」
「嫌なわけ、ないだろ」
ハユンも辰雄相手だと商売抜きになる。
一気に奥まで入れる。
「ああああっ!」
ハユンはあえぎ声をあげた後、辰雄の背中に爪を立てた。
女の息遣いに合わせてゆっくりと腰を振る。脚を抱えるようにして突いていたが、脚を大きく開けさせて奥まで突き入れると、ハユンは一層大きな声を出した。
辰雄は腰を少し引いて奥まで突く動作を繰り返した。その間、白くて大きな胸を揉みしだく。
ハユンの膣の上側をこすっていると、「もっと、は、激しく」と求めてきた。ベットの上で喘ぎながら、ハユンは辰雄の両腕を掴み乱れている。口を結びシーツを握りしめていた。女に覆い被さる辰雄の体が、規則的に動く。
辰雄の下で、ハユンが立て続けに果てた。辰雄にも限界がきた。
「もう、出そうだ……」
「ぅん……いいよ……い、いっぱい出して、いいよ」
辰雄はハユンを抱きしめながら、膣内で果てた。
「よかったよ」
辰雄はハユンに軽くキスをすると、ペニスを抜いた。ハユンが慌ててティッシュで押さえた。自分でも信じられないくらいの量が出ていた。
ハユンは手早く処理をし、掛け布団にくるまっている辰雄の横に寝転んだ。
「お前、あんまり声出さないな」
「隣の部屋に聞こえちゃうから」
「ちゃんと気持ちよくなったか?」
「気持ちよかったよ」
戦争が始まり、国連軍の爆撃と砲撃でさんざん街が焼き尽くされ、ハユンは身内も友人も全員失ってしまったらしく、最後の希望できたのがこの街だったらしい。街の焼け跡をぶらついているとき、店の経営者に声をかけられ、それ以降娼婦を続けている。
「タツオ、今度はいつ戻るの?」
「来月までソウルにいるよ。毎週通ってやるから」
ハユンは黙って頷くと、辰雄の身体を抱きしめた。少し様子がおかしい。
「何かあったのか?」
「アメリカ軍から店に連絡が来たの。従軍しろって」
従軍とは従軍慰安婦のことだ。前線に戦いに出るアメリカ兵の性処理のために軍に同行するよう、時折娼婦に命令が出る。
「いつから?」
「まだわかんない。タツオと一緒に行くかもしれない」
「俺は戦場には出ないよ」
「でも、ボランティアの日本人も行くらしいってママが言ってたよ」
「マジかよ」
ボランティアは軍属として主に後方支援の任務を与えられるが、前線に出て戦わされることもある。
「従軍は嫌なのか?」
「ソウルのアメリカ人は優しいけど、戦場では乱暴になるよ。でも、お金、いっぱい稼げるから」
「そうだったな」
「日本人は優しい。タツオも優しい。日本にいきないなぁ」
ハユンが辰雄にしがみついてきた。
たしかに。今の日本は糞みたいな国だが、ここよりはずっとましだ。
ハユンが辰雄のペニスを弄び始めた。
「二回目、しようよ」
「まだ無理だよ。さっき出したばかりだから」
「大丈夫。タツオはすぐに元気になるから」
ハユンは辰雄の股間に顔を近づけ、ペニスを口に含んだ。彼女の巧みで柔らかい舌使いに、ペニスはあっという間に力を取り戻した。
「ハユンはうまいなぁ」
彼女ははにかんだ様に微笑むと、辰雄の股間に跨った。