処女の秘孔は蜜の味 18
18 あのときの、懐かしい女体
エリカに連れて行かれたのは、古い作りの洋館の、あまり使われていない部屋だった。
最後にエリカとセックスしたのは一年近く前だ。ずいぶん昔のことのように感じる。
「やぁ……あ……んっ」
エリカを壁に押しつけて身体を愛撫する。辰雄の下半身もすでに硬く勃ちあがっていた。
鼻腔からシャンプーか石けんの微かな香りがする。狭い個室の中、辰雄の指に翻弄されて濡れた水音とエリカの甘い喘ぎ声が響く。
「相変わらずじゃねえか。あそこびしょびしょに濡らしやがって」
「馬鹿にしないで。今の私はお高い女なのよ。日本人の若造が抱ける女じゃないの」
耐えるような甘い吐息に似た喘ぎ。
偉そうな口を利いても、彼女の体はしっかり感じている。ビクビクと何度も辰雄の指を締め付けてきた。
「ああぁあ!」
エリカの片足を持ち上げて一気に貫く。擦り上げながら突き上げるだけで彼女自身が辰雄をきゅうっと締め付け絡みつく。
「んっあぁ」
「なあ、わかるか? つけてないんだぜ」
「え?」
「ゴム、つけてないんだよ……直に入ってるんだぜ、お前の中に」
「だから何? くだらない、今の私はプロの娼婦よ」
「中で出していいんだな」
「好きにすれば。日本にいるときも、しょっちゅう中に出してたじゃない」
女から病気をうつされたことは今まで何度もある。だから、知らない女とは生ではやらない。
今のエリカは多くの男を相手にしている娼婦だが、故郷の街の女子高生より安心できる。
「気持ちいいぞ、エリカの中……あったかくて、うねってる。おまえもいいんだろ? こんなに濡らして……」
「いいはずないわ……」
感じてないはずがない。ダメと言いながらも甘い声で辰雄を煽る。辰雄も堪えきれないほどの快感が腰から上がってきて、声が掠れる。
エリカを抱くのはこれで最後のような気がする。だが、ずっと、彼女を抱いていたい。
破裂寸前の己の猛りを彼女の濡れた秘部にゆっくりと出し入れする。エリカが以前と変わらない声を上げて、立て続けに果てた。辰雄もいつ出てもおかしくないほど張りつめていた。
「駄目だ、もう、出そうだ……」
「判ってるわ。我慢しなくていいから……」
「好きだと言えよ……オレのモノが」
「だ……だれが、好きなもんか……」
激しく腰を突き上げた後、エリカの奥深くで大量の精液を吐き出した。
彼女の中に全て吐き出してしまった。
二人の荒い息が、部屋に響いている。
「ベッドで休みましょう」
「今抜いちまったらこぼれて床をよごしちまうぜ」
「かまわないわよ、汚しても」
目の前で潤んだ瞳で見つめてくるエリカが愛しくて、下半身を精液まみれの彼女に擦りつけながら唇を重ねた。
「少し休んだら、続きをやるわよ……」
「え?」
「いつも二回はしていたじゃない。それに、急がないと点呼の時間になるよ」
「そうだな」
ぐったりとしたままのエリカを腕の中に閉じこめて、不思議な安堵感を覚えていた。
最後のセックスを終えた後、素っ裸のままお互いベッドの上で黙って煙草をふかした。エアコンの風がほてった身体に気持ち良い。
辰雄は三度、エリカの中で果てた。
エリカも大胆に大きく股を開いて辰雄を受け入れ、激しく腰をくねらせて何度も果てた。
辰雄の中で何かが弾けた。いや、切れたと言ったほうが正しいだろう。
エリカを抱いているとき、プチンって音がしたかと思うと、心の中で何かが転げ落ちるのを感じた。
「帰ろうぜ。俺と一緒に日本に」
エリカが黙って辰雄を見た
「お前がいないと、寂しいんだよ」
彼女が、ふっと笑った。無駄なのはわかっていた。しかし、いわないと後悔しそうな気がした。
「ありがとう。嬉しいわ。あんたがこんなところにまで会いに来てくれて、頭の中ぐちゃぐちゃになっちゃった」
吸殻を灰皿の中で押しつぶした。
「あんたは私の事すごい分かっててくれてた。でも私は、全然あんたの事を見てなかったのかなって、ソウルにきてすごく思った」
「どうしてもアメリカにいくのか?」
「私はね、お金持ちになるのが夢だったの。さもしいと思うかもしれないけど、お金があれば大概のことは自由になるわ」
黙って頷いた。エリカを責めることは出来ない。貧乏のつらさは辰雄もよく知っている。
「正直言って、あんたを置いて韓国に来ることに迷いはあったよ。体だけの付き合いのつもりだったんだけどね」
「そうか。もう何も言わねえよ。頑張りな」
「あんたと別れるのはすごく寂しいけど、これからもあんたのことは忘れないわ」
「忘れたっていいんだよ。頑張って金持ちになれ。俺はそんなお前を責めねえよ」
「ゴメンネ」
エリカが堪え切れず、辰雄の胸で泣き出した。
エリカはきっと夢をかなえるだろう。アメリカにわたり、金持ちの男を捕まえて結婚して、可愛いハーフの子供を生むだろう。
そして、やがて辰雄のことを忘れるだろう。