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キチガイたちの挽歌 16



 工場の長い塀の脇の、何もない空間のような場所に車は停まった。
「ほら、降りろよ」
 江利香は目隠しをされたまま服を掴まれ、車から引きずり降ろされた。
「おねがい、もう家に帰して……。警察には言わないから……」
「もう、遅いんだよ」
 マムシと呼ばれていた刺青男が、不気味に笑った。そばを大型車が何台も通過し、地面がその度に地震のように揺れた。
 ドアが開けられる音がして、男に襟首を掴まれたまま、狭い階段を上がっていく。
 目隠しが外された。目の前に垂れ下がる黒いレースのカーテン、それを払って部屋の中へ押し込まれた。
 照明は外と同じように暗い。部屋で人の息遣いが聞こえてくる。目が慣れてくると、部屋の隅で何人もの人がうずくまっているのがわかった。
「よう、いいものを持ってきてやったぜ」
 マムシの言葉に、部屋のあちこちでがさがさと人が動く気配がする。
 鼻に付くセメダインの匂い。ドス黒い顔色の男が江利香を見てにやりと笑う。歯茎が腫れて出血している。それと、何とも言えない口臭。
「いい加減にしねえと狂うぞ、お前ら」
 男はまたにやり。腑抜けのような笑顔。しかし、幼そうだ。
 部屋の明かりがともった。灯りと言っても、蛍光灯のような明るい光ではなく、ラブホテルにありそうな赤い電灯だった。
 江利香を見つけた男たちが、ぞろぞろ傍に寄ってきた。全部で十人いる。傍に寄ってきた少年たちの目を見て、背筋が冷たくなった。どこを見ているのかわからない焦点を結んでいない死んだような目だった。
「いやぁ! こっちにこないで!」
 言いようのない恐怖に襲われ、江利香が彼らから遠ざかろうとしたが、マムシに腕を掴まれているため動くことが出来ない。
「そういやがるな。今から天国に連れて行ってやるから」
 マムシはスプーンを手に取ると、小さなビニールの破片のようなものを取り出した。それを破って、中身をスプーンの中に移す。
「ねえ、もしかして、それって……」
 仲間の一人が取り出した注射筒を見て、江利香は彼らが何をしようとしているのかわかった。
「や、やめて……」
「もうじき天国に連れていってやるぜ。貴重なマブネタだ。じっくり味わえよ」
 マムシはペットボトルの水を注射筒に吸い込んだ。そして、スプーンの中にたらして結晶を溶かすと、その水溶液を注射筒の中に吸い込んだ。
「いや! いやぁ!」
 暴れる江利香の左腕の肘の付け根をゴム管で縛り上げ、マムシは浮き出た静脈にニードルをぶち込んだ。
「ああああああああっ!」
 ニードルは、スムーズに血管の中を突き進む。注射器が引かれ、血液と溶液が混ざる。逆流する血が渦を巻きながら注射器内部の溶液と戯れる。
 マムシは覚せい剤をたっぷりと血管に流し込んだ。
「ああああああっ!」
 ドーパミンが放出され、脳内が一気に冴え渡った。過剰分泌されるドーパミンが体内を駆け巡った。
「混じり気なし、極上のエスなんだぜ。北朝鮮ルートが壊滅してからエスが高騰し、これほどの雪ネタは滅多にお目にかかれなくなったんだ」
「ああああっ!」
 背筋にドライアイスを押し付けられたような冷たい感触が湧き上がる。身体が芯まで冷え切った。膣とクリトリスに血液が流れ込む感覚に陥った。
 体からムワッと女の匂いが立ち上ってきた。
 マムシに少し乳房を触れられただけなのに、快感が全身を走り、小刻みに体が震える。
「えへへへ、一気にキマッちまったな、感じてんのか?」
「あああっ! だ、だめっ! な、なに? これ。すごく変」
 マムシが股間に触れた瞬間、「キャアー!」と江利香が叫び声をあげた。
「あああっ!」
「へへへ、すごく濡れてれじゃねえか」
 マムシは江利香を裸にした。
「お前たち、食っていいぞ」まるで犬に餌をやるような素振りで、江利香を床に転がした。
「ゴチになります!」といって、少年が一人覆いかぶさってきた。股間をまさぐり、ピンクの乳首をむさぼる。
「やめて! お願い! おかしくなりそう!」
 泣きそうな声で哀願する江利香。部屋の中に愛液の匂いが充満していくのがわかる。それが自分の発した匂いだと、江利香は信じられなかった。
「やめてほしいだと? こんなになってんのに」
 少年が意地悪を言ってくる。
「あああっ、やめて。お願い!」
 少年はその言葉を無視し、江利香のクリトリスを吸い付いた。
「もうダメ! やめて!」
 体がビクンビクンと痙攣した江利香。
「へへへ、もうイッタのか?」周りで見ていた男の一人があざ笑う。
 これを使えと言ってマムシがピンクローターを差し出す。
「そんなの使っちゃ、だめぇ!」
 ローターを出され怯える江利香。そんな江利香に興奮する少年。容赦なくローターを江利香のクリトリスに当てる。
「いやぁ! やめて! だめ! アッ! 出ちゃう!」
 潮を噴く江利香。床は水溜りだ。
「もう、たまらん」
 少年はズボンをパンツごと下ろすと、勃起したペニスを握って江利香の足の間に腰を割り込ませた。
「ああああっ!」
 スルッと入るペニス。その反応でおたけびのような声をあげる江利香。
「おおお……き、気持ちいい……」
「あああっ、だめ、あああっ!」
 これまで経験したことのない快感が脳天を突き抜ける。呻きにも似た江利香の声が部屋に響く。
 少年は激しく腰を動かし、江利香はさらに大きな声を上げた。江利香の喘ぐ声を聞いて、上から覆い被さっている少年が低い声で忍び笑いを漏らした。顔同士が近い位置にあるため、少年の臭い息が江利香の顔に吹き付けてくる。
「あうぅ……」
 生ゴミのような腐った臭いに胃が震えた。男が腰を動かし始めると、強烈な臭いが断続的に吹き上げてくる。
「う……ぎぃ……うあ……」
 男の動きはぎこちなく、出し入れしているペニスもスローペースだった。それでも窮屈な江利香の恥部は、擦り上げられる度に快感を生み出した。
「あああっ、い、いいっ!」
「へへへ、感じてるぞ、この女」
 少年は歯を食い縛って強烈なピストン運動を始める。
「あっ、いいっ……すごくいい!」
 少年の腰の動きに合わせて、江利香の身体もガクガクと揺すられる。
 少年はガンガン腰を打ち付けながら、「うおっ! うおおっ!」と逼迫した声を上げた。
「あ……だめ……」
 嫌な予感がして江利香の口から小さな悲鳴が漏れ出た。予感通り、少年は江利香の中にビュッと精を放った。熱い液をドクドクと注がれる感触。ジワリと中で広がる精液のおぞましさに、身体全体がブルッと震えた。
「ああ……」
 このままでは本当に妊娠してしまうかもしれない。しかし、この快感が得られるなら構わないという思いが頭をよぎる。
 射精した男はさっさとペニスを引き抜き、すっきりした顔をして離れていった。入れ代わりに今度は並み外れた巨体をした大男がベッドに上がってくる。
「へへへ。この特大チンポをぶちこんでやるからな」
 既に剥き出しにされた男のペニスの巨大さに、江利香は思わず目を見開いた。前二人の男とは比較にならない大きさは、とても少年の物とは思えない。
 血管を浮き上がらせて、長大にそそり立ちながら亀頭の先にヨダレを垂らしている様は、まるで肉食動物が舌舐め擦りをしているようで、凶悪そのものだった。
 いくらなんでも大きすぎる。そんなもの、入るはずがない。大男はニヤリと唇の端を吊り上げて、江利香の両足首を掴んだ。
 仰向けになっている江利香は、そのままグイッと力付くで引き寄せられた。江利香ふくらはぎが男の肩に載せられ、太ももを抱え込まれる。
 もう一度グッと引き寄せられて、江利香の腰が男の股間に向かって引き擦られると、巨大な亀頭がピト、と割れ目に接触した。
「ひっ!」
 明らかに今までの男とは違う大きさを直に感じて、いっそう恐怖感が募る。ペニスの先端からジワジワと湧き上がってくる液の量も半端ではなく、愛液と精液でグチョグチョになっている江利香の性器でもそれを感じ取れるほどだった。
「そんなの入れたら、裂けるんじゃねえか」
 横を見ると、さっき射精し終えた少年が無邪気に笑っていた。
大男はグリグリと割れ目に亀頭を擦り付けてきて、生きた心地がしなかった。
「俺のチンポが欲しいよな! なあ江利香! 俺の特大チンポ、うまそうだろ!」
 男はそう言いながら腰を突き出した。江利香の太ももの付け根と男の下腹部が当たり、ピタンッと乾いた音が鳴った。
 巨大なペニスが江利香を貫いた。
「やああっ! あああっ!」
 喉を反らし、力の限り悲鳴を上げるが、声はかすれ気味になる。喘ぎ続けてきたせいで、江利香にはもう叫ぶことすら満足に出来なかった。
 奥まで突かれて、江利香の身体はビクビクと痙攣した。
「あああっ!」 
 大男はゆっくり動き出した。

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