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ハイエナたちの掟 14


「また来てください」
 ようやく最後の客を送り出す。
 掃き溜めのようだった通りからいつの間にか人影が消えていた。無遠慮に歩道を占領している若者たちの奇声が闇の落ちた街角にこだまする。
 赤や青の原色のネオンが、今夜はこれで最後だとばかりに煌めいている。この野卑で猥褻な街は、期待と不安が混交した男たちの後ろめたい好奇心を掻き立ててやむことがない。きらびやかで淫猥なネオンの洪水が、男たちの飽くなき欲望を煽り立てるのだ。
「いいかしら」
 そろそろ閉めようかと思っていると、女の声が背中を叩いた。
 本間涼子。
「何か飲ませてくれる?」
「大事なクライアント様だ。無碍にするわけにはいかないな」
 涼子がスツールに腰掛けると、省吾がグラスを男の前に置く。
「バーボンでいいかい?」
 涼子が頷く。グラスに琥珀色の液体を半分ほど注いだ。
「俺もいただくよ」といって省吾がグラスを取り出す。
「猫を飼っているんじゃなかったの? 今夜はいないの?」
「家に帰らせた。いつまでも不良少女をやらせるわけにはいかんからな」
 グラスのバーボンを一気に空ける。
「あの本間千賀子はどうしたの?」
 嫌味のつもりなのか冗談なのか、妹の名前をフルネームで口にした。
「交番の前に転がしてきた。今頃親が呼び出されているころだろ」
「ひどいことするのね」
「シャブ中を治すにはその方がいい。彼女にシャブを仕込んだ奴のことも警察は調べるだろうしな」
「アフターケア? 人違いした割にはやさしいことするのね」
「昨日のことは俺たちの不手際だ。金をもらう以上、きちんと仕事はする」
「この街、好き?」
「嫌いじゃない。退屈しないしな」
「揉め事が多いから?」
「そうだな」
「この近くで三年前に女子中学生がレイプされて殺された事件、知ってる? 犯人は被害者の同級生の男」
「ああ」
「加害者の少年は二人。一人が懲役五年、少女を手にかけた方が懲役八年」
「まったく、出血大サービスの罪だな。憎い奴がいれば未成年の間に殺しとくんだな」
「でも、その場にいたけど罪に問われなかった一人の少年と二人の少女がいたの。少年は、加害者たちに苛められていた男の子。加害者に被害者の女の子を殺せと命令されたんだけど、できなくてひどく殴られたらしいの。そして、少女の一人は日本橋のオタロードで地下歌手アイドルをやっているわ。メジャーデビューを狙ってただいま孤戦奮闘中」
「ほう」
「そして、もう一人の少女がいじめられていた男の子の幼馴染で、私の妹」
 省吾が驚いて顔をあげた。
「あの事件の現場にいたのか」
「悪どもの命令で幼馴染の男の子が妹を連れだしてあの現場に連れて行ったの。男たちが輪姦すつもりだったみたい。男の子が妹を守ろうとしてくれたけど、ひどく殴られてしまったの。彼、妹のことが好きだったのよ」
「それと、妹さんが攫われた事件と関係あるのかい? 妹が攫われたのは二か月前のことだろ? 事件は三年前だ」
「女の子を殺してしまって、加害者の男がヤクザを呼んだの。連中はやくざに相談しようとしたのね。現場にやくざがきて、あいつらに指示を出した。この少女たちのことは黙っていろと命令された。お前たちはすぐに出てこられる。いい弁護士をつけてやる。女のことを喋ったら、年少出たらお前たちも殺すと脅されもした。警察が調べれば、一緒にいた幼馴染の男の子のことも黙っていろと言ったの。彼を守るためじゃなくふたりの少女を守るためによ」
 省吾は涼子の言っていることがわからなかった。
「一緒にいた女の子はやくざの力でアイドル街道を進んでいるわ。おそらくやくざの愛人になっている。そんな女」
「妹さんはそのヤクザにさらわれたのか」
「その時は無事に帰したの。本当は攫いたかったんだけど、加害者の少年がどんな証言をするかわからなかったから、ほとぼりが冷めるまでじっとしていたの。そして、妹が女らしい身体になってさらに綺麗になってから攫ったのよ」
 涼子の声が震えている。
「きっと妹はあいつにおもちゃにされている。まだ男を知らなかったのに。透き通るように肌が白く人形のようにきれいだったのに、それが、豚のような薄汚い男たちに汚されてるのよ!」
 彼女の頬に涙が伝った。
「それでも、生きて戻ってくれればそれでいい」
 涼子が顔をあげた。
「実は、幼馴染の少年がいじめられた仕返しをしようと、その現場での行為を盗撮していたの。証拠のDVDは私が持っているわ。これを使えば、アイドル気取りの少女を罪に問えるかもしれないし、ヤクザのこともわかるかもしれない」
「たしかに、犯人隠匿を立件できればやくざを刑務所に入れられるな。その幼馴染の男の子はどうなったんだ?」
「死んだわ。事故ってことになっているけど、彼を苛めていた少年に殺されたの。加害者の父親が代議士で、罪には問われずよ」
「その子もよっぽど不幸な星の下に生まれたみたいだな」
「やくざは変態で、今も妹をいたぶっているの。妹を助けて」
「ナオミはやくざがいつも使っている部屋を知っているはずだ。今、玲子が尋問中だ。場所はすぐに確認できる」

「いつもええ時に来るなぁ」
 ドアを開けた玲子の顔がピンク色に染まっている。省吾が玄関に入ってドアを閉めると、彼女が抱きついてきた。
「もう、すぐにでもこれ、入れて欲しいわ」そういって、省吾を股間を握った。
「しゃべったか?」
「まだ、調教の最中や。終わったら、私のゆうこと何でも聞くようになるわ」
「また、おもちゃが増えるな」
「ええんや、あの女も組織に戻りたがってないからな。組織の内容をゲロしたからただでは済まんこと、ようわかってるわ。ええ女やし、あいつらの情報も手に入るかもしれんしな」
 玲子の寝室は女の性臭で満ちていた。
 部屋の中央では、全裸で後ろ手に縛られたナオミが四つん這いにされ、尻を高くつき上げさせられていた。そして、膣には巨大な黒バイブが挿入されていて、照明の光をいやらしく反射している。
「ええ眺めやろ。この女の恥ずかしいところが丸見えや」
 玲子がバイブを引き抜くと、ごぼっという音とともに粘液が床に零れ落ちた。女をいたぶるときの玲子は顔が生き生きしている。
「あ……いや……見ないで」
 息も絶え絶えにナオミが呻いた。目隠しをされている。
「なにゆうてんえん。こんな格好見られると興奮するんやろ。お前はマゾなんやからな」玲子が笑いながらナオミの尻を叩いた。張りのある玲子の肢体に、鳥肌が立っている。
「どう? エロいやろ……」そういってナオミを見ると、「ほうら、スイッチを入れるで」
 ナオミの秘部の中でバイブが蠢き始めた。ナオミが大声を上げる。玲子はナオミが達する手前でバイブを停めた。
「スンドメや」
 ナオミが拝むような目を玲子に向けている。
 玲子はけだるそうに顔をあげてナオミを見た。
「本間千賀子っちゅう子、どこにおるか思い出したんか?」
「ほんまに知らんねん。お願いやから、虐めんとって」
「思い出すまでお預けや」
 玲子がバイブでナオミをいたぶる。
「あああっ! お願い! お願いや!」
 ナオミが不自由な身体を動かし、尻を左右に振った。玲子の調教が効いている。ナオミの身体は、一度火がつくと我慢できないようになっている。
 玲子がナオミの尻を撫でた。
「何や、あんた、むちゃくちゃ濡れてるやんか」
 そういってナオミの尻肉をぴしゃっと叩いた。
「千賀子ちゃんがどこにおるか探すの、手伝うか?」
 玲子の言葉にナオミが必死で頷いている。玲子がバイブを手に取って、ナオミの膣にねじこんだ。ナオミが快感の悲鳴をあげた。

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