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ハイエナたちの掟 16


 床に投げ出される半裸の体。引き裂かれた服がからみついた裸身は全裸よりも淫らで、男たちの劣情をかき乱すに十分だった。
「くそ!」
 手を噛まれたモヒカン男が、傷口に血を滲ませながら舌うちした。床の上に投げ出された涼子に馬乗りになり、顔面に往復ビンタを食らわせた。衝撃に目がくらんだ。意識が遠のきそうになる。
「顔を殴るなってゆうたやろうがっ! その女にはすぐにでも客をとってもらうんやからな」
 醜い蛙男が叫ぶ。男たちに押さえつけられ、身動きが取れない。
 下着がはがされ、涼子は悲鳴をあげた。そのまま手を後ろ手に縛られ、両足首も縛られてしまった。
 陶器のような白い肌に、匂いたつ可憐さ。鍛えられた美しい体。無駄な肉のついていない体躯、折れそうなほど細い腰なのに、ブラジャーを奪ってしまうとたわわな果実のような豊かな乳房の頂点に、ピンクの刷毛でなぞったような乳首が誇らしげに上をむいている。非の打ち所のない美女が、全裸で野獣のような男におさえこまれている。
 醜い男が近寄ってくる。
「まあ、こんな女はシャブ中にしてからの方が楽しいかもな。その前に、わしのやりかたで楽しませてもらうで」
 醜い男が棒の先を涼子の鼻先に近づけた。突然、バチっと火花が散った。涼子は悲鳴をあげて目を閉じた。
「こいつは、さっきのスタンガンよりさらに強烈や。女をいたぶるんはこれが一番や。死ぬほど辱めて、たっぷり可愛がったるからな」
 男が棒の先を涼子の下腹部に押し当てた。
「あああああああああああっ!」
 身体を引き裂くような衝撃が全身を貫いた。涼子は悲鳴をあげてのた打った。再び棒の先端が押し付けられた。涼子は叩きつけられるような下半身の衝撃に、再び悲鳴をあげた。
「女の悲鳴はたまらんなわ」
 息も出来ず喘ぐしかない涼子の乳房に、熱い先端が押し付けられる。全身が痙攣し、のたうち回る。苦しみ喘ぐ涼子を見て、男たちが笑っている。
「あああっ! あああああああっ!」
 汗だくになり、涼子の顔が苦痛に歪む。
「たまんねえや! なんや、感じてる顔やないか! このスケベ女め!」
 わめきながら蛙男は勃起していた。
 次々と棒の先端を押しつけられ、電流が流される。涼子が悲鳴をあげ、のたうちまわる。
「漏らしよったで、この女」
 若い男の蔑むような声。尻の下が冷たい。失禁してしまったのだ。
「お漏らししてしもたんか」
 醜い男が顔を近づけ、尿で濡れた涼子の尻を匂い始めた。あまりのおぞましさに鳥肌が立つ。
 男が涼子に尻肉を開き、隠れていた局部の襞を指でかき分けた。
「ほら見てみぃ。やっぱり濡れとるやないか」
 涼子の漏れ出た体液の一筋を指ですくって、匂いを嗅いだ。
「やらしい匂いさせよってからに」
 いやらしく嗤うと、その指を涼子の膣に差し込み、中で蠢かした。指が激しく出し入れする度、涼子の太腿がヒクヒクと痙攣するのを見て、周りの男どもが笑っている。これでもか、これでもかという変態じみた行為に、涼子の全身が鳥肌で包まれた。
「どうや、ええ気持ちやろ。気持ち良かったら、哭いてもええねんで」
 蛙男が指を抜いた。下半身から引き抜かれた節くれだった指は、根元に白濁した粘液が付着し、ひきぬいた瞬間どろりとした液で、ながい糸をひいた。
「この女、思い切り感じとるみたいやから、誰かチンポで慰めたれ」
「社長はどうされるんですか」
 子分の声に男がにたりと笑った。そして、涼子の傍にしゃがみ込んで顔を近づけた。
「これから、こいつの妹に会いに行くんや」
 涼子がぎょっとして顔をあげた。
「この棒で、チカちゃんをちょっとお仕置きしたる」
「や、やめて! 千賀子に手を出さないで!」
「そら、あかんわ。お姉ちゃんのおいたは妹にも責任がある。これで攻めてチカちゃんがおしっこ漏らすとこ、見となったんや」
「私には何をしてもいいから、千賀子に酷いことしないで!」
「それはできん相談や。わしはチカちゃんが喘ぎ苦しむ顔を見たいんや」
 立ちあがった男は、子分たちに「わしはチカちゃんのところにいくから、この女、しつけとけ。シャブ、打ち過ぎたらあかんで」といって、涼子に背を向けてその場を離れていった。
「あああ……」涼子はその場で嗚咽を漏らした。今夜、あの男にいたぶられる千賀子の叫び声が頭の中で響いているように感じる。
 泣き叫ぶ涼子の髪をスキンヘッドの男がつかんだ。
「お前なぁ、妹の心配ばかりしとらんと、自分の心配したらどおや」
 男たちがズボンを脱ぎだした。どの男のペニスも鎌首を持ち上げて涼子を狙っている。
「俺からいくで」
 兄貴分らしきスキンヘッド男が涼子の足の紐を切り、足首を持って脚を広げた。そして腰を涼子の股間に割り込ませ、ペニスに手を添えた。
「こいつ、結構好きもんかもしれんで」
「たまらんわ。はよ、代わってくれや」
 手首のロープを切ったパンチパーマの男が、涼子の両腕を押さえた。
 これからこの男たちに犯されるのか。そして、ボロボロになるまで犯されたあと、覚せい剤中毒にされてさらに犯され、あのりりぃという女のようになるのか。
 絶望感に襲われ、涼子の眼から涙がこぼれた。
 扉が開く音とともに、旋風の様に影が横切った。まさにペニスを涼子にねじこもうとしていたスキンヘッドをその影が跳ね飛ばした。
 涼子は反射的に転がり、男たちから離れた。剥き出しの乳房を両手で隠して、よろよろと立ち上がったが、下半身に何もつけていないのに気づき、慌ててその場に座り込んだ。
 見覚えのある男と女。省吾と玲子だった。
「この腐れボケェェがぁぁッ!」
 憤怒に顔面を歪めた男たちが、怒鳴りちらしながら二人に向かっていった。省吾が動いた。殴りかかっていったモヒカン男のドテッ腹を殴りつける。モヒカン男が膝を折った。
「ふざけるんやないで! 俺たちが誰か知ってるんか! ああぁッ?」
 苦痛に腹部を押さえてうめくモヒカン男の顔に、容赦ない拳が飛んだ。
 金髪男が省吾に拳を叩き込もうとするが、彼はさらりと避けて、金髪男の背中に裏拳を叩き込む。金髪男が無様な姿で床に倒れ込む。
 涼子に女の影が近寄って来た。
「あんた、結構ええ身体してんねんなぁ」
 玲子が自分のコートを脱いで涼子の身体を覆った。
 省吾が動く。距離を詰めてきたスキンヘッドとパンチパーマが腕を伸ばして省吾を掴もうとするが、寸前で避けられる。省吾が身体を捻り、パンチパーマの鳩尾に強烈な膝を叩き込んだ。パンチパーマがへどを吐いて床に崩れ落ちる。
 最後の一人になったスキンヘッドが小刀を抜いた。摺り足で省吾に肉薄する。下から突き上げるように腹を狙った刃を、右足を軸にして回転し体を交わす。すかさず後ろへと跳んで、スキンヘッドと距離を取った。
「この野郎……馬鹿にしてんのか」
 スキンヘッドが地を蹴り、横薙ぎに小刀を振る。省吾が動きを予測して身を沈めた。右へと重心をずらした省吾の懐に入り込み、手に持った小刀を喉へと滑らせる。
 省吾の太い腕がその手を掴んだ。その腕を引くと、スキンヘッドがあっけなく倒れた。スキンヘッドの腕に体重を乗せた肘を食らわせた。
 木の枝が折れるような音と、スキンヘッドの劈くような叫び声が倉庫に響く。
 床に倒れていた三人の男たちがその様子を茫然と見ていた。
「すごい……。一人で四人も」
「こいつら、碌に喧嘩の仕方も知らんただのチンピラや。それに比べ、あの人はプロやからな」
「どうしてここがわかったの?」
「あんたのマンションからここまでつけてきたんや」
「あたしの部屋から?」
「あの連中も裏社会の人間や。あんたの部屋くらいすぐに突き止めてちょっかい出す思っとったんや。それで、あんたの部屋に張りついとったんや」
「どうして私の部屋がわかったの」
「私が、あんたの後つけたんや。これでも尾行はうまいんや。思った通り、連中があんたの部屋に入っていったんで、あんたを攫うつもりや思って待ってたんや」
「ひ、ひどい。私が酷い目にあわされているの知っていたんでしょ。どうしてもっと早く助けてくれなかったの」
 涼子が声を震わせて泣きだした。
「この倉庫に来て、あんたの妹さんを探しとったんや。それでここにへ入ってくるん遅なったんや。けど、あんたの妹、どこにもおらんかった」
「ここにはいないの。あの男、千賀子のいる部屋に向かってるの」
「そうか。ちょうど良かったわ。あの蛙みたいな男やったら、仲間が後をつけてるわ。途中で捕まえて吐かせたると思ってたんやけど、拷問の手間、省けたわ」
 省吾が寄っていた。涼子がはだけていたコートの前を慌てて重ねた。
「さあ、いくぞ」
「いくって、どこに?」
「あんたの妹を助けに行くに、決まっているだろ」

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